2011年09月14日

アイセック・ジャパン

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本日は、アイセック・ジャパン 東京大学委員会の部室オフィスにお邪魔して、東南アジアについての話をしました。最近インドネシアへの旅を終えて帰国した水野さんと原口さんがお相手です(後半ギャラリーが増えましたが)。

アイセックは学生による世界最大規模のNPOで、「国際的な視野に立ち、且つ自国の社会や人々の発展と成長に貢献しうる人財を世に送りだす事」を活動理念に、海外インターンシップを推進しています。フランスの学生が発起人で、現在、世界107ヶ国で活動しています。

彼らには、インドネシアのスクナン村を紹介していました。町全体でゴミのリサイクルを推進し、またそれを観光資源としても活かしているコミュニティがあります。この、少し変わったエコツーリズムは盛況のようで、アイセックが訪れる前日には、APECの団体も訪れていたとか。

なお、震災の影響によって、訪日する学生は特に減少していないそうです。

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2011年04月16日

目指せ世界一のエコホテル? バリ島ホテルのリサイクル

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ここはバリ島。ホテル"パドマリゾート"。そのリサイクルの継続的取組に対して、証明書を授与されたというホテルです。そのニュースを見て、どんな取組をしているのか、覗いてみることにしました。


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門を入ってすぐのところに、ゴミの収集所。客室やレストラン、庭園などのゴミがここに運ばれてきます。緑はガーデニング担当、ピンクは敷地の補修、というように、シャツの色で担当がわかります。


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日本人客を専門に応対している、中澤美里さんにお話をうかがいました。

「日本とちがって、バリ島ではゴミを分別して捨てる、ということがふつうじゃありません。ですから、まずはホテルの従業員に、ゴミの仕分けを教えるところからはじめています」

例えばペットボトルは分けておき、給水用のボトルを納品している業者に、回収してもらっているそうです。


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「特別なことには思われませんよね。ですから、この認証のためにお客様が増えた、ということはありません。でも、まずはこういうリサイクルを定着させることからはじめたいと思います」

以前、ドイツはフライブルク市にある「世界一のエコホテル」とよばれる"ヴィクトリア"に泊まったことがあります。太陽光発電と風力発電を備え、間伐材のペレットを燃料とし、太陽光や地熱を活かすことで冷暖房を工夫、生分解性の石けんが使われ、宿泊者には公共交通機関のチケットが渡される。という徹底ぶりのこのホテル、いまでは3年先まで予約で一杯だとか。


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いっぽう、こちらはゴミが排水溝に詰まって、スコールのたびに道路が冠水するバリ島のホテル。千里の道も一歩からですね。


posted by 瀬戸義章 at 23:19 | Comment(1) | 7カ国目「インドネシア」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月13日

10年間の大修復。世界遺産、ボロブドゥール遺跡。



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インドネシアには、大がかりな補修によって甦った、1000年前の遺跡があります。「ボロブドゥール」。ジョグジャカルタ市から北西約42キロにあるこの仏教遺跡は、世界遺産に登録されています。


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西暦780年から833年にかけて、当時ジャワ島を治めていたシャイレーンドラ朝によってボロブドゥールは建造されました。しかし、この王朝の崩壊後、遺跡は歴史から忘れ去られてしまいます。イギリスのジャワ総督ラッフルズによって、密林の土中から再発見されたのは、1814年のことでした。


1973年、ユネスコによる大規模な補修がはじまります。まず、遺跡はすべて解体されました。そして、5万5千個の安山岩は、一つ一つ番号が付けられ、コンピュータで管理されながら、ふたたび組み立てられていきます。


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幅123メートル。高さ31.5メートル。世界最大の大乗仏教遺跡は、10年の補修を経て、ふたたび甦りました。1984年2月22日に、スハルト大統領が、ボロブドゥールの修復完成記念式典を盛大に行っています。これは、その記念碑。


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しかし、いまなお遺跡の補修は行われています。接着剤の類いはいっさい使われず、石が積み木のようにバランスよく配置されたこの遺跡は、赤道直下の日差しとスコール、そして年間100万人の重みによって、常にひずみ、ガタツキが生まれています。


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そこで職人が、日々、石を外してはまた組み直し、隙間を詰め、ずれを直してるわけです。


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タイを始めとする仏教国から、多数の信徒が訪れるこの遺跡は、そうやって守られ続けています。


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2011年04月11日

"ゴミ"で村おこし!? インドネシアの新たなエコツーリズム

"ゴミ"で村おこしをしている地域が、インドネシアにあります。場所は、ジョグジャカルタ市近くのスクナン村。300世帯、およそ900人が住んでいる農村です。


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村の看板からして、空き瓶でできています。


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コミュニティ事務所の応接室。テーブルと向こうのイスは廃タイヤ製。手前のイスには、細かく裂いたプラスチック包装をいれて、模様にしています。奥にかかっているバッグも、すべて廃プラスチックをリメイクしたもの。


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これはミロの空きパックで作ったカバー。家庭やオフィスで使われる給水器にかぶせて、埃よけに使います。こうしたエコプロダクツがオフィスで販売されていました。

スクナン村の活動は、エコプロダクツの制作にとどまりません。


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こちらは街のコンポスト施設。


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「各家庭にもコンポストが普及するように努めています」と、スタッフのHartiniさん。様々な種類のコンポスト装置を作り、販売しています。


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たとえば、この素焼き製の壺は125,000ルピア(約1,250円)。同じ大きさのプラスチック製になると270,000インドネシアルピア(約2,700円)です。


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また、ゴミの分別を徹底し、缶・瓶・ペットボトル・プラスチックなどは、この倉庫に保管して、一定量溜まったらまとめて業者に売却しています。


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過去の記録が残っていました。2010年12月19日の売り上げは、717,750インドネシアルピア(約7,170円)です。


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通りのゴミ捨て場にはファニーなペイントをされたゴミ箱が。中をのぞいてみましょう。


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〈紙〉


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〈空き瓶、ペットボトル〉


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〈プラスチック〉

プラスチック製である200mlサイズのミネラルウォーターの容器が「空き瓶、ペットボトル」の中に入っていましたが、おおむね分けられています。

道にあるゴミ箱としては、今回訪れた7カ国のうち、最も分別されているゴミ箱でした。

10年前には、村民は当たり前のようにポイ捨てをしていました。田んぼもゴミだらけ。また、プラスチックゴミは野焼きして処分するので、有害な煙により空気も汚れていました。

「ぼくはこの村の出身じゃ無いけど、なんとかしたいと思ったんだ」
メンターのIsswantoさんは熱く語ります。

「でも、街でやっているように、車でゴミ収集をしたのでは、お金がかかる。良い仕組みはないものか…… そう考えていたとき、スカベンジャーがゴミ拾いをしているのを見て、はっとひらめいた。彼らは、ああやってゴミを拾い、お金に換えてくらしている。この村でも同じことができるんじゃないかとね」

エコプロダクツの製造もコンポストの製造も、有価物の仕分け・売却も、じつは村民が分担して、「仕事」として行っています。たとえばエコプロダクツが売れた場合には、70%が制作者に還元されるという仕組みです。


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廃材リメイクを始めたのは2002年から、彼の奥さんが試作品のカバンを作り、作り方を指導していきました。

「生ゴミはコンポストにする。紙や瓶、プラスチックやペットボトルは資源業者に売る。それ以外の廃材リメイクする。ゴミになるものなんてないんだよ。10年前と比べたら、道はキレイになったし、仕事ができて、稼げるようになった。蚊も少なくなって、病気が減って良いことずくめさ」

将来はエコツーリズムの村にしていきたい、といいます。
「こんどの日曜日には、別の街から50人が見学に来るんだ。日本からも大学生が来たことがあるよ。そうやって、エコな取組を見てもらえるような村にしていきたいんだ」

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もし、インドネシアに行くときは、この村の訪問を検討されてはいかがでしょうか。
Sukunan's Official Site


posted by 瀬戸義章 at 13:55 | Comment(0) | 7カ国目「インドネシア」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月10日

"ゴミ"の銀行!? インドネシアNGOのリサイクル活動。

いまGoogleで「インドネシア ゴミ」と検索すると、一位にこう表示されます。
"インドネシアに「ゴミ銀行」登場:日経ビジネスオンライン"

……「ゴミ銀行」!?

いったいどんなところなのか、確かめに行ってきました。場所は、ジョグジャカルタ市から原付で1時間ほど走った場所にある、バントゥール地区のバンデガン村。


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10坪ほどの敷地に、受付と倉庫がありました。ここで会員がもってきた、ビニルや紙・瓶などの売却できるゴミ、「有価物」の重さを量り、通帳に記入し、保管します。その場で買い取るわけでは無いのがポイントです。


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受け取った有価物はためておき、月に一度、業者に売却します。

有価物には一般にスケールメリットがあり、同じ素材のものなら、量が多ければ多いほど、値段が付きやすくなります。たとえば、1枚の古紙に値段は付きませんが、100万枚集まれば、より高く売ることができるように。


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この特徴を活かして、このゴミ銀行では、まとめて売却しているわけです。そして、重量に応じて金額を口座に分配していく、という仕組みです。


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現在、近くに住む252人が通帳を持っています。口座残高のリストが掲示されていました。一番の「お金持ち」が貯めた金額は、300,000インドネシアルピア(約3,000円)。携帯電話が買える値段です。

営業するのは月・水・金で、時間は午後3時から6時まで(日経の記事には午後4時から9時までとありますが、変更になったようです)。この日の来客は3人でした。


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「村がキレイになったよ」
もともとは、環境啓蒙のために設立されたというこのゴミ銀行。活動前後でなにが変わってきたか、NGOスタッフのBambangに尋ねました。
「前はあちこちにポイ捨てするのが当たり前だったけど、いまは子どもたちもゴミ箱に捨てるようになった。お金になる、っていうことがわかって、ゴミに対する意識が変わってきたんじゃないかな。少しずつだけどね」

スラバヤ市のPUSDAKOTAにせよ、このゴミ銀行にせよ、インドネシアのNGOは、粘り強く、そしてユニークな活動を続けている、と感じました。


posted by 瀬戸義章 at 00:35 | Comment(0) | 7カ国目「インドネシア」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする