2011年10月11日

ジーンズでリュックサックをつくる方法

災害ノウハウ集『OLIVE』さんのワークショップに参加して、長ズボンでリュックをつくってみました。


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(1)用意する物は、長ズボンと2mくらいのひも。ジーンズだと丈夫でいいようです。


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(2)まずは、両足のすそを、ひもで縛ります。


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(3)足の部分を折って、ひもはベルトに通していきます。両端とも一周させ、結びます。


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(4)完成。2Lペットボトルを2本入れてみました。もうちょいきつく縛った方がよさそうです。


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(5)背負ったところ。

ズボンはかさばる荷物の一つなので、本格的に『リュックになるズボン』があれば、旅がより身軽になるかも、と思いました。


2011年10月10日

「ゴミ」を「宝」にする12の事例。――イベント"PechaKucha"より

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10月9日、恵比寿ガーデンプレイスで行われたイベント"PechaKucha"に参加しました。これは、さまざまなアーティストが、あるテーマに沿って、20枚のスライドを20秒ずつ映してプレゼンする、というもの。今回のテーマは"SHARE"でした。以下に発表原稿を掲載します。

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こんばんは。瀬戸と申します。私は昨年の11月から今年の2月までの3ヵ月間、「ゴミタビ」と題して、東南アジアのリサイクルの現場を見てまわりました。また、帰国後、5月からまた3ヵ月間、仙台に滞在して復興支援に携わりました。


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それは、価値観を巡る旅でした。だれかが「ゴミ」だと思っている物が、別のだれかが生きるために、あるいはお金持ちになるために活用されています。今夜は、その体験をシェアさせていただきたいと思います。


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ここは5月21日に撮影した、宮城県南三陸町のようすです。この地域の避難所のひとつだったホテル観洋のおかみさんから、こんな話を聞きました。「水道がでるまで100日以上かかった。その生活は、まるで東南アジアにいるようだった」と。別の避難所では温かい味噌汁が飲めるまで、一ヵ月以上かかったとも聞きました。


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一方、こちらはまさにその東南アジアの貧困地域、東ティモールのオエクシです。しかしこちらでは、ココナッツの殻やトウモロコシの芯を燃料とするバイオマスコンロが使われていました。これは、インドネシアの大学教授が発明した、火力の高い代物です。


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こちらはそのインドネシアの埋め立て地です。なぜ重機があるのかといえば、トラックが落とした廃棄物をならしているからです。なぜ人がいるのかといえば、ビニル袋やペットボトルなど、売れる物を探しているからです。なぜ牛がいるのかといえば、生ゴミを食べさせれば、餌代が浮くからです。


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こちらは、フィリピンのエコショップ。彼女が持っているのは、旗でつくったバッグです。右上のは、新聞紙を編み込んだカバン、その下は玄関マットをほぐしてつくったポーチ、右下はココナッツでできたバッグです。この廃棄物でできた商品の売上は、いずれも製作者である貧困層に還元されます。


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ここはベトナムのリサイクル御殿です。村中に段ボールがあふれかえっていて、どの家も玄関先で、あるいは工場を建てて、トイレットペーパーをつくり、町に運んで販売しています。3階建ての立派な家が建ち並んで、道にはレクサスが走っていました。リサイクルによって経済的に豊かになるというリサイクル村が、ベトナムのあちこちにできつつあります。


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「ゴミ」をめぐる日本と東南アジアの関係も見てみましょう。これは、インドネシアの大学生に質問された内容です。ロボコンは、NHKでやっているロボットの競技大会ですね。この質問に、みなさんならどう答えますか?


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インドネシアのスラバヤ工科大学は、ロボコンの国際大会で優勝経験がある大学です。ロボットの部品は、壊れたコピー機のベルトや、「ドロボウ市場」でかってきたジャンク品などが使われていたりもします。


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さて、これは日本できのう粗大ゴミとして出されたテレビの写真です。16枚あります。なぜ16枚かといえば、このスライドが映る20秒間の間に、日本では16台のテレビが不用とされているからです。「物があふれている」。それが勝てない理由なのかもしれません。


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日本の粗大ゴミの一部は、海外に輸出されて販売されています。これはフィリピンのリサイクルショップです。ちょっとガタツキがあるような引き出しでも「これくらい、直せばいいよ」と買われていきます。


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タイでは婚礼ダンスなど、上質な家具が修理されて販売されていました。日本では新品で安いのが買えてしまうので、中古家具はほとんどが粗大ゴミになります。


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もちろん、いまの日本がゴミを活用していないというと、そうではありません。震災によって、東京湾の埋立予定地が一杯似なるほどの莫大な廃棄物が発生しました。そのリサイクルに懸命になっています。


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ここは岩手県大船渡市の遊び場です。ガレキを使って、地元の建設業者と子どもたちとが作り上げました。「自分たちで町をつくっていく。そのために、あり物を買ってくるのではなく、つかえるものをつかいたかった」そうです。


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これは、ボランティアによって、被災した農家のビニルハウスが解体されているところです。このビニルハウス。もともと農家の主人の手によって自作されたものです。また土地をきれいにして、作り直す、ということでした。


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これは石巻市の牧場です。流木や建材といった木質系のガレキが砕かれ、チップ化されて、ここにまかれています。コンポスト化して、肥料にするためです。これは7月の写真ですが、先週聞いたところでは、牧草が育ちはじめている、ということでした。


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津波で堆積したヘドロもまた、悩ましい問題のひとつです。ですが、このヘドロに古新聞などの古紙を混ぜることで、耐久性の高い土壌となり、臭いも抑えられるそうです。この土を使って、堤防をつくる試みがすすめられています。


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これは丸太のチェーンソーアートです。重くて畑にいつまでも残っていたり、窓に突き刺さったりしていた厄介者ですが、こうしてデザインを加えると、みんなが欲しがる人気者に生まれ変わります。


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これは、MITのケヴィン・リンチが残した言葉です。「ゴミ」という言葉は読み替えればかんたんに「宝」になります。


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自分か「いいね!」と思ったことをシェアするのはかんたんです。ですが、自分は「ううん、どうだろう……」と思うものでも、「この人だったらいいね! と思うんじゃないか」「こうすればよくなるんじゃないか」と考えて、シェアすることこそが必要なのではないでしょうか。


2011年10月09日

311被災各地域の"いま"を示すyoutube動画まとめ

facebookのあるコメントから。

「さっきも友人と電話で話をしていたけど、回りから聞こえてくるのは
『もう大丈夫なんでしょ?』との言葉。
半年も過ぎると遠い昔の話になっている大震災。
確かに、しっかり歩いていかないといけないんだけどね。
まだまだ元に戻っているとはいえない。
伝えていかないといけないんだよなあ、現状を。
大丈夫になった人もいる、でも、まだまだ程遠いんだよ被災地は。」

なるほど。

それなら、と。岩手・宮城・福島で津波被害を受けた地域の現状を伝える動画をyoutubeで探し、まとめてみた。ちなみに、岩手県宮古市と福島県いわき市とは、直線距離で300km離れている。



宮城県気仙沼市・岩手県陸前高田市・岩手県大船渡市 10月2日



宮城県南三陸町 9月25日



福島県南相馬市 9月24日



岩手県宮古市 9月18日



岩手県大槌町 9月18日



宮城県石巻市 9月12日



宮城県女川町 9月12日



宮城県仙台市 9月9日



福島県いわき市 9月1日



2011年10月08日

カラーコーンが調理コンロに? 大災害で生き延びるための展示会『OLIVE』

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いざというとき、身のまわりにあるものを使って「生き延びる」。そのための智恵がつまったWEBサイト『OLIVE』の展示会が、恵比寿ガーデンプレイスで行われています。


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OLIVEは、東日本大震災直後に立ちあがったwikiプロジェクト。身近なプロダクトを工夫して、災害時に生き残る、あるいはより快適に暮らすためのノウハウが集まっています。ここで展示されているのは、たとえば「簡易トイレ」だったり、「布ナプキン」「カンテラ」といった、暮らしにかかせないもの。「1週目 まずは生き残る」「2週目 安全を確保する」「3週目 生活を持続する」と、それぞれのフェイズにあわせたノウハウが展示されています。


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このほかにも、カラーコーンを使った調理器や、オリーブオイルをつかったロウソク、ジーンズを使ったロウソクなど、ユニークなアイデアが詰まっています。


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10月10日(月)まで展示は行われています。場所は、JR恵比寿駅南口との連絡通路。この入口から階段を下りた地下一階です。

"あの"災害は、いつでも"この"災害になりえます。冒険野郎マクガイバーやマスターキートンにあこがれた人も、そうでない人も、ぜひ訪れてみてください。


2011年10月07日

『廃棄の文化史』

ケヴィン・リンチの『廃棄の文化史』を読んだ。

この本とは、昨年の5月に新宿御苑で出会った。『ロハスデザイン大賞』の審査会。展示されていたエコをテーマにした「家」の中に置かれた一冊がこの本だった。漫画版の『風の谷のナウシカ』などもあったと思う。本はすべてブックディレクターの幅允孝により選ばれたのだそうだ。

ケヴィン・リンチは、1918年シカゴ生まれ。フランク・ロイド・ライトに建築を学び、マサチューセッツ工科大学で都市計画を教えた。本作は、リンチの死語、教え子によって編集され、1990年に出版されたものである。

この本には、『廃棄』の断片が山のように詰まっている。彼は、紙くずやガレキ、古タイヤ、生ゴミといったものだけを廃棄物だと捉えているのではなかった。茶道の「侘び」、クワキトル族のポトラッチ、カルタゴの滅亡、ライ病患者の隔離、原爆投下後の広島、超新星爆発などを通して廃棄の様相をめまぐるしく伝えている。

「廃棄されたものは、人間の目的にとって価値のないもの、使い途のないものである。この世の中には、廃棄されたモノ、廃棄された土地、廃棄された時間、そして廃棄された人生がある」

リンチはこの「価値」に申し立てをしている。

熱力学の法則に従えば、エントロピーの増大により、時間の果てで宇宙は熱的死を迎える。しかし、「生命」はその流れに逆らうようにして、少しずつ環境に適応し、発展し、成長していく。この生命の発展にこそ究極の「価値」を置くべきではないか。

廃棄そのものは遠ざけられるべきではない。エネルギーと物質は常に流動しており、そこに廃棄は必ず生まれる。ある生物の死や破壊によってうまれた廃棄物が、別の生物の餌になるように。だからこそ、破壊と浄化を楽しみ、再生へとつなげる「上手な廃棄」が必要だ。では、悪しき廃棄はなにか。

「生命に対して永遠に毒となるような方法で廃棄してはならない」

放射性廃棄物の問題について、しばしば言及されている。たとえ現代科学でピラミッドを建てようとも、25万年間も危険なまま残留する放射性廃棄物を管理しきることはできない。

スリーマイル島の原発事故について、リンチはこう言及している。

「スリーマイル島の施設を浄化するには、
約30億ドルの費用がかかり、
2000人の労働者が必要であろうと推計されている。さらにその作業には、
20万着の布製作業着、
100万着の紙製作業着とプラスティック製作業着、同様に
10万着のレインコート、
100万足のプラスティック製ブーツ、
10万足のゴム製ブーツ、
100万組のゴム製手袋、
10万個の手術用キャップ、
1000個のヘルメット、
1万本のスポンジモップ、そして
100万平方フィートのビニールシート等が必要となるだろう。
そして、おそらくすべてのものが
(労働者たちは別だと信じたいが)、
汚染された廃棄物として投棄されなければならないだろう」

スリーマイル島の面積が17ヘクタール。環境省が試算した福島において除染が必要な面積は最大で2800万平方メートル。およそ165倍だ。"施設"の浄化と土壌の除去なので、単純比較はできないが、じつに拙い「廃棄」を選んでしまったことだけはわかる。