この光景から、人はなにをつくることができるだろうか。
たとえば、ギターをつくることができる。
「ZERO-ONE再生プロジェクト」は、東日本大震災によって発生したガレキの中の木材や素材をつかって、和太鼓やギター、ウクレレなどを製作・販売する。忘れないための楽器、立ちあがるための音楽をつくる。彼らはその素材を「ゴミ」でもなく「廃材」でもなく「思材」と呼ぶ。そこには想い出が、そして復興の思いが詰まっているのだから。
たとえば、オモチャをつくることができる。
「ワタノハスマイル」は、石巻市の渡波小学校におしよせたガレキをつかって、子どもたちがオブジェをつくったワークショップ。子どもたちの笑顔がこもった作品たちは、見てるこちらに元気を与えてくれる。彼らはその素材を「町のカケラ」と呼ぶ。
たとえば、ミサンガをつくることができる。
「トモノテ」のミサンガプロジェクトでは、漁網の修復糸をつかって、被災した漁業者のおかあさんたちがミサンガをつくり、イベントなどで販売している。糸は全国の漁村から支援してもらったものだ。売上は、水産物の加工場を作るための投資になる。
たとえば、ちゃぶだいをつくることができる。
「Creative for Humanity」は杉の間伐材を使って、避難所で子どもたちがお絵かきをするためのちゃぶだいを提供した。この不思議なデザインのちゃぶだいは、もともと、「Rebirth project」が不用木材をつかってデザインしていたもの。被災した職人がひとつひとつ、手作りしていった。