2011年02月14日

うちわでゴミのポイ捨て防止! プノンペン市の工夫あれこれ

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「道にゴミがたくさん落ちているだろう。日本とは違って」インタビューは、開口一番、このことばで始まりました。


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場所はプノンペン市のCapital Hall。廃棄物担当 Nuon Samnavuth氏へのインタビューです。


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「ポイ捨てをやめるように、いろんな工夫・努力をしているんだ。たとえばこれは、市場に配布したうちわだよ。ゴミの分別方法が書いてある。うちわなら、使ってもらえる率が高いからね。お土産にどうぞ」


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「緑色が有機物、オレンジ色が無機物、という分け方だ。他にも、ポスターを貼ったり。スピーチしてまわったり。あれこれやっているけど、なかなかね」

「戦争があって、まずは僕たちは生きるのに精一杯だった。つい最近まで、ゴミなんかにかまってられない時代だったんだ。『ゴミのポイ捨て』というのは『習慣』になっているんだよ。習慣を変えるのは難しい。でも、今は違う。観光客も増えてきているし、汚い街にし続けるわけにはいかないんだ。この習慣を変えなければならない。」

何が重要課題か。聞くまでも無く、このポイ捨て問題のようです。

ところで、旅の途中に読んだ『三四郎』に、こんな一文がありました。
『この時三四郎はからになった弁当の折を力いっぱいに窓からほうり出した。』
冒頭、列車で東京に向かう場面です。夏目漱石が『三四郎』を著したのは1908年。少なくともこの時代には、日本でもポイ捨てが当たり前だったようです。いまでこそ「ゴミのポイ捨てはよくない。分別しなきゃ」という意識になり、「清潔だ」という評価を受けつつありますが、それは、Nuon氏のような志持つ人々の努力があったからこそでしょう。


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ゴミ処分場の見学はおろか、こうしたインタビューにも、本来であれば知事の許可が必要というカンボジア。(今回は友人との会話、ということで非公式の扱いにしてくれました)写真も撮れなかったので、以前参加した国際会議で撮影したものを抜粋。一番右がNuon氏です。


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なお、スカベンジャーたちが集めている缶や瓶、ペットボトルなどの有価物は、ベトナムに輸出されているそうです。


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それらを除いたフォーマルな廃棄物回収は、CINTRIという民間企業が、有料で行っています。費用は、量に応じて月に1ドル〜20ドル。他にも回収を行う企業が5社ほどあったそうですが、みな潰れてしまったそうです。現在、プノンペン市から出るゴミの総量は、1日1,500トン。処分場の管理は政府の管轄です。

余談ですが、「カンボジアの人たちは陽気で、笑顔が良いね」とコメントしたときの、彼の回答です。

「たしかに、日本を訪れたときは、電車の中でみんな難しい顔をしていたね。何かしら読んでいたり。忙しそうにして。でも、それはたぶんビジネスに集中しているからなんだ。一方、カンボジアでは、そこまでビジネスを深く考えてはいない。暇そうにしているからこその陽気さ、なんじゃないかな」


posted by 瀬戸義章 at 12:02 | Comment(0) | 4カ国目「カンボジア」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

赤茶けたビニル袋たち 〜拾ってみた3 カンボジア編〜

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シェムリアップの街では、路地は舗装されておらず、この赤茶けた土で覆われています。カンボジアには、まだ「ゴミをゴミ箱に捨てる」習慣が無く、土のなかに、あるいは草むらに、いくつものゴミがうずもれています。


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実際に拾ってみると、ほんの10分足らずで、袋は一杯になりました。


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内訳を見ると、「ビニル袋」が多いようです。買い物の袋として使われるのはもちろんのこと、ジュースの容器としても使われています。フィリピンもまた、多くのゴミが道端に捨てられていましたが、あちらがお菓子の袋など、包装プラスチックが多かったのに比べると、ただのビニル袋が多いようです。経済発展の差が、ここからも見て取れるそうですね。




posted by 瀬戸義章 at 11:55 | Comment(0) | 4カ国目「カンボジア」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月08日

カンボジアの中古品問屋街! 「ヘンリーマーケット」

プノンペン市の南西部にある問屋街、ヘンリーマーケット。中古の衣服・自転車・バイクを扱う卸売り業者が集まっています。


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倉庫の袋のには、ぎゅうぎゅうに古着が詰まっています。日本だけでなく、中国や韓国、あるいはアメリカからも仕入れているとか。


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袋から一枚ずつ洋服を仕分けして、市内の小売店に販売します。カンボジアで売られている中古衣料のなかには、横流しされた援助物資がある、という噂をいくつかの場所で聞いたのですが、この中にもあるのでしょうか。


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こちらは自転車の問屋街。ざっと見たところ、防犯登録のラベルが貼ってあったので、自転車は日本製が多いようです。


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一台ずつ、組み立て、修理し、洗浄しています。そして、10〜20ドルで販売しているそうです。街では30〜50ドルで販売されていたので、結構な開きがありますね。


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バイクは中国・韓国製の中古品が多数ありました。週に一台など、売れ行きはあまりよくないようです。

このマーケット、1年で1ブロック広がるなど、拡大し続けています。カンボジアでは、経済発展とともに、リユースの市場も急速に成長しているようです。


posted by 瀬戸義章 at 00:38 | Comment(1) | 4カ国目「カンボジア」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月31日

カンボジアに笑顔をもたらす仕事! 「かものはしプロジェクト」見学記

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明るい笑顔とともに働く女性たち。みんな、NPO法人「かものはしプロジェクト」のコミュニティファクトリーに勤めています。訪れたとき、全員が立ち上がって、合掌して、「チュムリアップ スオ!」と挨拶してくれました。凄い。


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カンボジアの首都プノンペンから、長距離バスで約6時間。世界遺産アンコールワットがある街、シェムリアップ近郊の農村に、このファクトリーはあります。共同代表のひとり、青木さんに案内していただきました。


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ここで働く女性たちは、そのほとんどが「最貧困層」に属します。彼女たちへの給金は、1日1.25$〜1.75$。これで世帯収入の約6割を占めます。「もっとあげたいんですけどね……」と青木さん。まずは、売上を2012年までに1,200万円にし、ファクトリーを黒字化することが目標だそうです。

現在、70人強の女性たちが、周囲5km、一番遠くて20kmから働きに来ています。作っているのは、主にイグサを使ったバッグや雑貨。年間約8tのイグサを仕入れ、製品を作っています。


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まずは染料を調合して、


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イグサをカラフルに染め上げます。


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次に、色のバランスに気を配りながら、1本1本織り込んでいきます


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そして、大きさを整えて、


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裁縫していきます。


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何個作らねばいけないのか、ホワイトボードで生産管理もしています


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デザイナーからの色指示が、うまく伝わらなかったようで、再確認。基本的なことにも、時間をかけて、根気よく。


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そうしてできた、色とりどりの商品たち。基本的には、カンボジアのお土産店に並びますが、日本やアメリカから依頼が来ることもあります。


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日本の皆様だけに、新製品のリサイクル素材+いぐさを使ったバッグをご紹介。どうかカンボジアには秘密にしてくださいね。

――各国のNGOが、カンボジアの貧困層支援のために、廃材からリメイクした商品を製作し、販売していますが、競争過多になりませんか?

「確かに、潰しあっては意味がありませんね。でも、カンボジアは、ここ10年間で平均8%の成長を続けています。そんな市場では、より良い商品を作ろうと競合することは、切磋琢磨になると思いますよ」

ところで、かものはしプロジェクトは、2002年に児童買春の解決を目的としてスタートしたNPOです。

――それがなぜ、いぐさ製品を作っているのでしょうか?

「児童買春の根源は『貧困』にある、と考えているからです。カンボジアは農業国ですが、土地を持たず、わずかな収入しかない人々が5%いると言われています。例えば、病気をして、薬が必要になった。それを買うために、だまされて、子どもをわずかばかりの現金とともに『出稼ぎ』に出してしまう。その子どもたちは、買春を強要される。そんな現実があります。もしその世帯に、しっかりした収入があれば、子どもが売られることを防げます。ですから、このコミュニティファクトリーでは、最貧困層の女性しか雇わないように、こだわっています。」

――なぜ女性なのですか?

「統計的に、男性よりも女性が収入を得たほうが、家族にいきわたりやすいんです。」

――なるほど、お酒やギャンブルに消える心配が少ない、というわけですね。活動の成果はいかがでしょうか。

「もともとは、IT事業部の代表として日本にいました。新たなチャレンジをもとめて、カンボジアに長期滞在するようになったのは、2008年からです。」

「活動をはじめた2002年当初に比べると、明らかに、児童買春は減ってきています。調査のために売春宿に行っても『ポリス、ポリス』と断られますから。それは、政府が摘発に力を入れているからです。」

「アメリカの圧力もあるでしょうし、戦後の世代が、自分たちの国をよくしようと懸命に活躍している結果だと思います。かものはしプロジェクトも、警察に対して売春宿の摘発研修支援を行いました。ですから、かものはしとしては、まだ児童買春がの被害が多い、他の国への進出を視野に入れています」


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「個人的には、ここに来て、自分のやりたいことが見つかったのが大きいですね。最貧困層の女性は、自分に自信が無いことが多いです。ここで働きはじめても、『不登校』になることが、しばしばあります。そういったときには『家庭訪問』をして、話し合いをしています。正直、それは手間がかかりますし、コストです。でも、働き続けて、お給料をもらって、技術を身に着けた彼女たちは、徐々に明るくなってきます。顔つきが変わっていきます。そういったエンパワーメントをすることが、自分のやりたいことだと感じました」

青木さん、ありがとうございました!

かものはしプロジェクトをもっと知りたい!/応援したい!という方は→コチラまで

posted by 瀬戸義章 at 23:52 | Comment(0) | 4カ国目「カンボジア」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月30日

カンボジアで「宝物」を売る仕事!?

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「ここに並ぶ商品は、日本では、「不用品」。悪く言えば「ゴミ」です。でも、カンボジアの彼らは、ここで服や食器を買って、『日本の商品を買えるようになった!』と誇りを感じるんです。また、カンボジアには、日本向けのような質の高い物がほとんどありません。日本の皆さん、あなたが不用だと思うものは、宝物なんです。」

この熱いメッセージは、カンボジアでリサイクルショップを運営するスタッフ、菱田さんの言葉です。

今回は、カンボジアの首都、プノンペンで、日本の中古品を輸入販売しているリサイクルショップを取材しました。福島県のリユース・リサイクル企業、東都クリエート社が、カンボジアの企業と連携して展開している、店舗です。


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案内していただいた、日本人スタッフの菱田さん(左)と、カンボジア人スタッフのNARETHさん(右)。


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街の中心部に位置する一号店の店内。プノンペンの名前の由来であり、宗教のシンボルであるワットプノンの近くにあります。開店して2年目になりました。販売しているのは衣服がメイン。他には帽子やベルト、靴、バッグ、食器、ぬいぐるみなどが並びます。


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衣服以外では、食器類が人気です。900個入荷した、味噌汁用の茶碗が1ヶ月(!)で完売しました。ほかに、「ネスカフェの空き瓶」等も売れてしまうとか。


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価格帯は1ドル〜5ドルが中心。ちなみに、カンボジアでは現地通貨のリアルだけでなく、米ドルも幅広く流通しています。(ポルポトが通貨の使用を禁じた事が、影響しているそうです)

中古家電は(1)日本製は変圧器の取り付けが必要。(2)タイからそのまま使える中古品が入ってくる。(3)テレビは受像方式そのものが違う。などの理由で、販売が難しいようです。

商品は、日本から、1〜1.5ヶ月のペースでコンテナが送られてきます。コンテナが到着し、商品がどんっ、と入荷した日は、通常の2,3倍、500人近くの来客があるそうです。それも口コミで広がるというのですから、ファンが多い証拠です。


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店長のステキな笑顔も、ファン作りの秘訣!?

なお、横浜港からシアヌークビルまで海路、そこからプノンペンまで陸路で運ぶと、コンテナ1本につき約7,000ドルの経費だそうです。カンボジアはまだ所得が低く、中間層が少ないため、利益を確保するには商品を吟味する必要があります。フィリピンで300ドルで売れるタンスが、こちらでは200ドルにしかなりません。でも、衣服をプレスしたものを、タンスと同じ体積のぶんだけ運べば、1,000ドルで売れます。このように、コンテナのスペースをいかに利益転換するかが重要だと教わりました。


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こちらは街の南部に位置する「SAKURA RECYCLE SHOP」。2010年の10月に開店したばかりですが、平日も賑わっています。


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日本語学科を卒業したスタッフが、商品の値付け作業を行っていました。


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もともと、カンボジアの人々のためになることをしたいと、NGOに携わっていた菱田さんにお話しを伺いました。

「ポルポトの独裁から30年たち、カンボジアでは、貧しいながらも一生懸命新しい社会を築こうとしています。でも、若者はなかなか仕事に就くことができません。かつてはNGOの『支援』があちこちで行われていましたが、これからはビジネスで、『働くチャンス』を彼らと一緒に築いていく時代です。」

「2011年の2月には、世界遺産アンコールワットがある街、シェムリアップに出店する計画です。また、IT事業部を立ち上げ、DATABASEがらみのwebサイト製作や、サーバーのホスティングサービスも行っていきます。」

「日本で、自分をもてあましている人。ここには大きな可能性があります。将来に必ず役立つ経験ができます。一度来てみれば分かります。一緒に活躍しませんか? ぜひ気軽に相談してください! (生活費もものすごく安く済みますよ!)」

面白そうだ! という人は、菱田さん宛てにご連絡をどうぞ!
jhishida@yahoo.com


posted by 瀬戸義章 at 00:19 | Comment(2) | 4カ国目「カンボジア」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする