2010年12月31日

ゴミゼロ宣言!ピサヌルーク市の取り組み#2

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ピサヌルーク市の取り組みは、今から出るゴミを減らそうとするだけではありません。既にあるゴミをも減らそうとしています。その結果がこの瓶。この中に入っているのは、プラスチックゴミから作られた、燃料です。


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燃料の「採掘現場」は、ピサヌルーク駅から車で30分ほど走った場所にある、最終処分場でした。学校の校庭8個分ほどの広さに、ゴミが敷き詰められ、捨てられています。


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このゴミ捨て場から、プラスチックゴミを集め、


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回転させながら300度まで加熱し、


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燃料となるオイルを作り出します。


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現在、この工場は建設中で、2011年の1月第二週に完成予定。もうすぐですね。急ピッチで作業中、のはずですが、ハンモックがあるあたりがタイ風です。


スタート時は1日4トンの処理を、最終的には1日16トンの処理能力を目指します。


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それにしても、たくさんあるゴミの中から、どうやってプラスチックをより分けているのでしょう。尋ねたところ、この装置を使っているそうです。この中にゴミを入れると、真ん中のドラム部分が回転し、軽いプラスチックが飛ばされるので、選別可能ということでした。


以前読んだ廃棄物に関する論文の中で、「これからはゴミ捨て場は資源採掘場として考えるべきだ」という趣旨の論考がありましたが、ここではまさにそれを実践しようとしているわけです。汚れなど異物の混入が心配ですが、ゴミゼロに向けた、ピサヌルーク市のチャレンジでした!


posted by 瀬戸義章 at 20:31 | Comment(0) | 2カ国目「タイ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月30日

ゴミゼロ宣言!ピサヌルーク市の取り組み#1

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タイ語で書かれたこの掲示板。実は、ゴミを出すときの、分別の仕方が書いてあります。ご覧の通り、かなり細かく。ペットボトルや紙、瓶、は言わずもがな、ステンレスやアルミの違いから、靴の分け方、まで表示されています。

この掲示板は、バンコクから列車で8時間ほど北上した、人口7万8千人の街、ピサヌルークにありました。この街を治める女性市長、Piem氏は、"ゴミゼロ宣言"を出し、タイの中でも、先進的なゴミ処理を行っているそうです。(ちなみに、タイにおける女性の社会進出は比較的進んでいて、政界の15%は女性の議員だそうです。)


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今回、案内してくれた、ピサヌルーク市の職員、Noppadon氏。


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訪れたのは、ピサヌルーク駅から車で5分の、リサイクル&レクチャー広場。公園のような雰囲気で、近隣の住民が、気軽に資源物を持ち寄れる場所です。


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ここでは、掲示の通り、かなり細かく分別がされていました。瓶は色つきとそうでないもの、紙も白紙か色つきのもの、ペットボトルは本体とふたに、蛍光灯や電池も別々に、などなど、合計20種類近くに分かれています。細かく分別することで、品質の良い再資源化ができるようになるので、より高く売却することができます。


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また、回収品を押しつぶすことで、運びやすくする圧縮機や、


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木板を粉々にする破砕機など、専用のリサイクル機械もありました。かなり本格的な施設です。


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この施設付近のコミュニティを束ねる、チェアマンのSaong氏。この施設を運営し、利益を上げ、設備を拡大しています。


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そして、ここで行っているのはリサイクルだけではありません。"3R" ――Reduce(減量化)、Reuse(再使用)、Recycle(再資源化)――のレクチャーも行っています。


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床の一部は、紙でできたブロックを利用しています。


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こちらは、ハイネケンの空き缶を利用して作ったランタン、Saong氏の作品です。このように、実物を見ながら"3R"について学ぶことができるようになっています。冒頭の分別表も、この教室の中にありました。


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「ゴミを減らすための最初のステップは、まず分別の大事さをみんなに知ってもらうことです。」Noppadon氏は言います。学校や、こうした場所で、数百回にわたって分別の大事さを伝える講義を行っているそうです。
「今では、市民も分別の意義を、だいぶ分かってもらえるようになりました。」

地道に伝え続ける。すばらしい活動です。

次回は、ピサヌルーク市のゴミ処理場での取り組みをお伝えします!
posted by 瀬戸義章 at 00:46 | Comment(0) | 2カ国目「タイ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月27日

もはや一つの街?バンコクのゴミ処理場


な、何だこれ。水車のごとく、勢いよく回っています。ガサガサガサガサという音、よく見ると、中にはビニール袋が。バンコクから出るゴミの中間処理場、『オンヌットゴミ処理場』の敷地に入ってすぐの光景です。



最初は、遠心分離機のようにゴミを仕分けているのかと思いましたが、この様子を見ると、袋を水洗いして、乾かすための装置のようです。そういえば、フィリピンではビニル袋を天日干ししていました。


バンコクの廃棄物は、一度、市内3カ所の中間処理場(オンヌット・タレング・ノンケム)に集められ、有価物の回収や圧縮、焼却処分をされた後に、Kamphaeng SaenやPhanom Sarakhamにある民間の最終処分場に運ばれ、すべて埋め立てられているそうです。今回訪れたのは、3つのうちの一つ、市の北東部にあるオンヌットゴミ処理場です。

Bangkok Post』によると、タイ全体で排出されるゴミのおよそ24%が、バンコク由来だそうです(ちなみに、人口の割合は18%)。2009年時点で総排出量8,700t。一人当たり約0.9kgで、東京都の約1.1kgに匹敵します。あと10年すると、バンコクのゴミ排出量が、15,000t/日を超えるのでは、という試算もあり、焼却を推進するように政策転換したようです。


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敷地はかなり広く、タクシーで回りました。おそらく、100台以上の収集車を見かけたと思います。ここには、1日約2,200tのゴミが運ばれるとか。


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敷地内には、分別をする施設や、ゴミを焼却する施設、圧縮する施設などがいくつもあります。基本的には複数の民間企業によるものですが、生ゴミを堆肥化するための、市の施設もあるそうです。



ここでは、ペットボトル、プラスチック、ダンボール、缶などに分別していました。


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市の職員も視察に来ています。フレンドリーですね。



こちらは焼却施設。ゴミ箱がそのままベルトコンベアで運ばれ、炉に投入されるようです。2個ずつしか投入されない、というスピードは、ちょっと悠長な気が。



廃車となったゴミ収集車たち。これはどうするのでしょうね。


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施設内の道はゴミであふれています。



処理場内には「スカベンジャー」の集落がありました。これはフィリピンのゴミ処理場と変わらない光景です。(道路が舗装されている点が異なりますが)『バンコク週報』の過去の記事によると、ここで拾った商品を修理・洗浄して、ナイトマーケットに出品しているとか。


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一方、同じ通りには、きちんとした集合住宅が。施設の職員が住んでいるのでしょうか? 今度会う清掃局の人に聞いてみます。


posted by 瀬戸義章 at 22:32 | Comment(0) | 2カ国目「タイ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月26日

バンコクのリサイクルショップ事情。

お店が集まる通りを歩けば、必ずリサイクルショップがある、というフィリピンに比べると、タイにはそれほど中古品店がありません。(マーケットには中古品が多数販売されていますが)。あれこれ探して見つけた店舗について、ご紹介します。


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こちらは、Phrom Phong駅から徒歩1分の、通り沿いにあるリサイクルショップ「サンミックス」。電化製品は扱っておらず、衣類や靴、バッグが中心です。日本語表記があったので、オーナーは日本人? と聞いたところ、タイ人の店舗でした。


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高さ60cm×幅45cmくらいの小さな棚が550バーツ(約1,650円)でした。店内の撮影は、残念ながらNG。


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続いては、同じPhrom Phong駅から徒歩7,8分のリサイクルショップ「ユーズドアンドサービス」。広告によれば、開店8年の店舗です。


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店頭においてあった小型のコーナー家具は100バーツ(約300円)でした。店内の撮影は、またしてもNG。こちらの店は、炊飯器や電子レンジ・ミニコンポ・卓上照明など、小型の電化製品が中心のようです。ざっと見たところ、比較的新しく、傷や汚れもない、説明書つきの商品が並んでいます。

価格帯は、
・炊飯器:1,200バーツ(約3,600円)前後。
・ミニコンポ:2,000〜3,000バーツ(約6,000円〜9,000円)。
・電子レンジ:2,500バーツ(約7,500円)前後。
・卓上照明:1,700バーツ(約5,100円)。
・空気清浄機:3,000バーツ(約9,000円)前後でした。


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オーナーのヌットさん。主に日本人から買い取っているそうで、日本語も達者です。「日本のお皿、高く買えますよ」と電話で話していました。店舗の2Fでは、家電修理もやっているとのこと。炊飯器の電源故障の場合、修理費700バーツ(約2,100円)。冷蔵庫や洗濯機などの大型家電は扱えません。

そうすると、モノの流れは
(1)タイで日本ブランド、あるいは韓国ブランドの家電が製造される。
(2)タイに住む日本人の駐在員が、その家電を買う。
(3)帰国する際に、家電をタイのリサイクルショップに売る。
(4)タイ人の中間層が、中古家電を買う。
こんな順番になっているのでしょう。

フィリピンでは、日本で使用された中古家電があふれていましたが、タイは、国内でも、回っているようです。

以前の記事でご紹介した、エコリングの羽東さんによると、
・白物家電はタイで大量に作られている。わざわざ日本から運ぶ必要がない。
(日系企業の電話帳を探したところ、富士通・日立・パナソニック・三菱電機・SHARP・SONY・東芝の工場が見つかりました)
・日本のテレビは規格が合わない。
などの理由が大きいそうです。
(そもそも、タイでは中古家電の輸入が規制されています。フィリピンも、そのはずですが。)


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一方こちらは、エコリングさんのバンコク店。店内にはブランド物のバッグやジュエリー、ギフトなどが並びます。これは、日本で買取した商品の一部をタイに輸出したものです。
「品揃えが違いますから、負けることはありませんよ。」とは担当の伏見さん。


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タイのスタッフは接客修行中!


ちなみに、タイでよく見かけるリユースのお店は"古本屋"です。1冊50バーツ(約150円)
前後で販売されています。


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若者が集まる通りには、漫画やペーパーバックを扱う店舗。


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こちらは、日本の雑誌・小説の専門店。地下鉄の通路にありました。


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これは…… 古本屋というよりも、古本の塊でできた何か、でしょうか。


逆にフィリピンでは、古本屋には一軒も出会いませんでした。同じ東南アジアといえども、国それぞれに特色があります。別の国にいけば、また違うポイントが見えてきそうです。


posted by 瀬戸義章 at 02:21 | Comment(0) | 2カ国目「タイ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月24日

バナナが紡ぐ、タイ-大分県-ラオス-東京都。

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このランチョンマットは、バナナからできています。残念ながら、食べることはできません。ラオスのサラワン県ラオガム郡ホアイフンタイ村で作られているこの製品。現地の生産者と、JICAから委託をうけたIC NET社と多摩美術大学の「バナナ・テキスタイル・プロジェクト」の協力により作り上げました。

『THAI KEIZAI』の記事でこの取り組みを知り、IC NET ASIA社のオフィスにお邪魔して、岩城さんにお話を伺いました。(ちなみにバンコクでは、10誌を超える、日本人向けの新聞やフリーペーパーが発刊されています。この新聞は、伊勢丹の中にある紀伊国屋書店で買いました。)

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このマットは、バナナの茎の部分をすき、その繊維を結び合わせて糸状にしたものを、織って作るそうです。強度を保つ関係上、綿もあわせて使っています。


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製造には、現地の伝統的な織機を使います。腰に固定して座って使う、伝統的なこの織機は、農作業の合間にもできるように、持ち運び可能な形になっています。茎をすく工程からはじめて、一つの製品ができるまでには約1週間かかるとか。

販売価格は約100〜700バーツ(約300〜2,000円)。ラオスにはこの価格帯で買える層が少ないため、主に観光客が買っていきます。それまで、ほぼ自給自足で暮らしていた村民の、貴重な現金収入となっているそうです。

もともとこの村では、ビーズを織り込んだ珍しい織物を織っていました。そこに更に付加価値をつけた新しい製品を一村一品産品として作るため、村で多く植えられているバナナの茎を織物に使うことを考えました。そこで、多摩美術大学に協力を依頼して製品化されたそうです。

ラオスの一村一品運動では、バナナ繊維の製品化にとどまらず、バナナ焼酎、蜜蝋や黒米、線香に陶器など、数多くの産品開発を行っています。

もともと、一村一品運動は、1980年に大分県ではじまった運動です。今では、日本だけでなく、東南アジアにも広がり、タイではタクシン前首相が、政策として推し進めたそうです。

国を挙げての取り組みにより、特産品の市場は、2001年には、年間2億4,500万バーツ(約7億3,500万)だったのが、2008年には777億バーツ(約2,331億円)へと急成長しました。このうち、86%が国内での売り上げだそうです。

アイ・シー・ネット社は、さいたま市に本社があるコンサルティング会社。JICAなどから委託を受け、全世界の開発分野を手がけています。このタイでの成功事例をもとに、現在、お隣の国ラオスで、開発援助を行っているわけです。


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こちらは、一村一品運動で生まれた製品を販売するお店「HUK E-san Shop」のようす。BTSのAri駅から徒歩5分の場所にあります。"民族工芸"のイメージを、ある意味払拭するような、カラフルな品物が並びます。


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籐製品をつくるときに廃棄していた、ラタンのトゲをつかった爪楊枝。25バーツ(約75円)。エスニック料理店などにおいてあると、雰囲気が出そうですね。


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「ラオスにおけるJICAの一村一品プロジェクトは、あと1年が期限となっています。それまでに販路を拡大して、彼らが自立できるように頑張ります」。

岩城さん、ありがとうございました!
posted by 瀬戸義章 at 23:04 | Comment(1) | 2カ国目「タイ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする