2011年10月12日

日本の"不用家具"を買ったフィリピン人の感想

日本では、中古家具のリユース販売があまり行われていません。その理由として、
 (1)収納付きの住居が増えている。
 (2)新品で安い家具が買える。
があげられます

とはいえ、少し傷があるぐらいで、粗大ゴミとして捨てられ、砕かれ、埋め立てらるのはあまりにもモッタイナイ。ということで、生活水準がどんどん向上している東南アジアに、不用家具は輸出され、リユースされています。

でも、日本では明らかに「粗大ゴミ」として扱われるような品々。これを買うことに対して、どんなことを感じているのでしょうか? フィリピンのリサイクルショップで聞いてみました。


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まずは、ローテーブルを購入したWendyさん。

「今まではほんとに小さなテーブルしか、部屋になかったの。これで家族いっしょに食事ができるようになるわ。確かにここに傷があるし、無いにこしたことはないけど、でも、長く使うものでしょ? そんなに気にしないわ」


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続いて、ミニデスクを購入したRoniさん。

「(引き出しを開け閉めしながら)ほら、日本の家具は、ガタつきも無くて、つくりがしっかりしてるでしょ。中国製の新品を買うよりいいよ。今まではね、ベッドの上でノートパソコンを使っていたけど、これがあれば、腰を痛めずに仕事ができるね」

返ってきたのは、好評価でした。

posted by 瀬戸義章 at 13:53 | Comment(0) | 1カ国目「フィリピン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月16日

中古テレビが抱える問題。BAN Richard Gutierrez氏へのインタビュー

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国際NGO BAN TOXICSの代表、Gutierrez氏にインタビューをしました。

――E-waste問題について教えてください。

「1999年、日本企業から、注射針など医療廃棄物が届いた。フィリピンの有害廃棄物問題は、これに端を発している。彼らにとっての利益を追求した結果だろう。E-waste問題も、この有害廃棄物問題の一つだ。」

「街を歩けばわかると思うが、フィリピンには、日本の中古テレビが並ぶ店が、いくつもある。フィリピンの中古テレビは、ほとんどが日本製、まれに韓国製だ。日本とフィリピンのTVシグナルが同じで、少しのカスタマイズで使えるようになるからだ。だから、日本から、たくさんの中古テレビが輸入されていることが、君も分かると思う。しかし、JICAのリサーチでは、フィリピンに輸入される中古品のうち、平均すると、10%がゴミだそうだ。中には、コンテナの半分以上がゴミだったケースもある。画面が割れているテレビ、映らないテレビ、修理不可なテレビが店で売れるはずも無い。JUNK SHOPに送られるか、そのまま捨てられる。その処理が問題なんだ。フィリピンでは、ゴミ処理はインフォーマルセクター、つまり、スカベンジャーたちによって行われる。」

「君も素手で家電を解体しているところを見たのか。(「リサイクルのかなめ。フィリピンJUNK SHOP事情#2 http://gomi-tabi.com/article/172099878.html)電化製品には、鉛やカドミウム、水銀などの有害物質が含まれている。そんなふうに解体していて、健康被害が起きないはずは無いんだ。彼らは、ブラウン管のガラスに有毒な鉛が含まれている事を知らずに、運びやすくするため叩き壊しているし、、AVケーブルの皮膜を剥ぐために、燃やしたりしている。ちなみに、そうして分別した後は、中国に輸出している。フィリピンには再資源化できるところが少ないからだ。」

「この問題は貧困が絡んでいるから、解決することは極めて困難だ。今日、食べていくためにやっている彼らに、ゴミを拾うなとは言えない。」

――どれくらいの被害が出ているのですか?
「まだ、具体的にはわからないんだ。定量的な調査をしているところだ。」


――BANの活動を教えてください。

「BANはジャーナリスティックに活動している。具体的には、TV5やCBSなどのテレビ局に、ニュースを提供している。たとえばこれは、来週放送される番組だ。E-wasteの問題を取り上げている。」



――問題の解決には、何が必要だと思いますか?

「日本での規制だ。フィリピン側でコントロールすることが困難だからだ。君のラップトップPCの電源を切れていたとしよう。それを見て、使えるのか/壊れているのか、判断することは我々には非常に難しい。だから、そもそも壊れている物を輸出にしないようにすべきだ。」

「もともと、国家間の廃棄物の輸出入を禁止する、バーゼル条約があるんだ。しかし、日本は、この条約のアップグレード版を批准していない。それどころか、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)によって、規制を緩和しようとしている。」

「すべての中古品が悪ではない。だから、"Not only working but also apropreate."を望む。壊れているだけでなくて、我々が使う『商品』を送ってほしい。たとえば、動くからといって、白黒テレビを送られても、商品にはなりえない。」

「日本では、水銀によって水俣病が引き起こされただろう。先日、日本に行った際に、彼らと面会をしてきたが、この悲劇を起こさないようにしてほしい。」

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Mr.Richard ありがとうございました。
posted by 瀬戸義章 at 17:13 | Comment(0) | 1カ国目「フィリピン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

フィリピンのソーシャル企業支援。ASEI John Paul Melgazo氏へのインタビュー

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ASEI(ASIAN SOCIAL ENTERPRISE INCUBATOR)のJP Melgazo氏にインタビューをしました。

――御社はどういう活動をされているのですか?

「ASEIは、アキノ大統領の肝入りでスタートしました。フィリピンにはソーシャルな活動をしている企業やNGOがありますが、彼らには技術やノウハウ、資金がありません。彼らがサステナブルに活動できるように、支援者とマッチングさせていくのがわれわれの使命です。たとえば、マイクロファイナンス大手の"MFI"などが我々のパートナーです。」

「この国にはいくつかの階層があります。富裕層のAクラス。定職があり、税金を納めるBクラス。決まった仕事が無いCクラス。路上生活者などのDクラス。そして、HandicappedであるEクラス。このうち、Dクラス以下の人々にむけて、支援していきます」

(※注 フィリピンでは、1,000ペソ単位で投資ができるマイクロファイナンスの利用が、日本と比べて普及している。Bクラスの人々も利用している。)

――具体的にどんな団体をフォローしているのですか。

「Ann WizerのInvisible Sietersという団体をフォローしています。フィリピンにはゴミ捨て場で生活するような人々が多くいます。その中でも、特に収入の無い女性たちが自立できるよう、支援をする団体です。」

「彼女たちは、プラスチックの容器や、AV配線のケーブル、パソコンのハードディスク、ビデオテープなどのゴミを上手に編みこんで、バッグなどを作っています。そして、ひとつ300〜1,500ペソ(約600円〜3,000円)の値段をつけて、バザーで販売しています。」

「Annは、フィリピンのECO-WARRIOR 10傑にも選ばれました」

――同じような活動をしているNGOがいくつもあるが、商品が競合しませんか?

「そのためにも、バザーだけでなく、マカティ市の店舗、そして、海外に販売網を広げていきたいと考えています」

(※注 フィリピンでは、インターネットで情報を検索し、比較検討する、ということがそこまで発達していない。重要なのは「知っている/知らない」で、地理的格差があれば、そこまで競争にならない、とのこと。)

――今後はどんな展開をされるのでしょうか?

「次は電力です。太陽光発電と水力発電を、農村部に広めたいと考えています。フィリピンには、電気も水道もなく、薬も買えずに、薬草を煎じて飲んでいるような地域がまだあります。そうしたところに、まずは電力を供給していきます。」

「その後は、教育を普及させていく予定です。インターネットを使えば、地方に対しても、効果的な教育をもたらすことができます。たとえば、Skype。海外との通話ですら、このサービスなら無料でできます。もし、このプロジェクトがスタートする段階になったら、古くなったPCを、日本から仕入れたいと思っています。」

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Mr.JP ありがとうございました。


posted by 瀬戸義章 at 17:08 | Comment(0) | 1カ国目「フィリピン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月12日

ホンネとタテマエ? フィリピンの一般ゴミ処理事情

『日刊まにら新聞』によると、フィリピンでは、今年の雨季に、スコール対策として「ゴミのポイ捨て禁止」が呼びかけられたそうです。


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なぜかというと、ゴミが詰まって、道路の水はけが悪くなるからです。これは、アウトレットモールの水詰まり。6〜10月の雨季には、交通が麻痺するほどの浸水が起きているそうです。リサイクルショップのオフィスバスターズさんも、店舗を探すときは、浸水しない様に、物件の高さに注意するとか。


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それくらい、あちこちでポイ捨てされているのが、フィリピンです。どこの道路もおよそこんな具合です。


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こちらは、MDAA(Metropolitan Manila Development Authority)による道路清掃の様子。富裕地区のメインストリートでは、清掃しているところを見かけます。たまに、ですが。


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ゴミのポイ捨てはだめよ、と禁止する看板をいくつか見かけましたが、効果のほどは、どうでしょうか。

市長クラスが参加する、日本の中古品オークション「ICHIVAN YASUI AUCTION」に参加した時のこと。参加者は、席に座りながら、スナック菓子の袋をぽいぽい床に捨てていました。

また、コンビニの店舗内休憩スペースで、休んでいたときの事です。レジ袋を床に置きつつ、パンとペプシを買って食べていたら、スタッフにさっと回収されました。(袋を使うつもりだったので、返してもらいましたが)

ファストフードでも、食べ終わった後は店員が片付けにくるので席に放置、です。

こういう事からみるに、ポイ捨てを禁止、しても、人々に根付くにはなかなか難しそうな気がします。なにせ、信号を渡らない国ですからね。シンガポールは重い罰金を貸す事で、それをクリアしているみたいですが、そういえば、日本はどうやって習慣づけしたのでしょうか。


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一方、家のゴミは、こんな風に、外にある袋に溜めておき、週に一回、決められた曜日に回収に来ます。

ホームステイ先のWendyにきくと、瓶と缶は別に分けて出し、生ゴミは犬の餌にして、残りはまとめてゴミに出しているそうです。


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街で見かけたごみ収集車。一人がバケットの上に乗って、3人がかりで回収します。

分別しなきゃ回収しないよ、という法律もできたそうですが、それがなかなか実行されていないのは、コチラの記事でふれています。


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さらに、ゴミを焼く事もフィリピンでは禁じられていますが、ゴミの野焼きもあちこちで行われています。だって量が減るじゃん、とのこと。


いま、レジ袋の回収を店舗に義務付ける法律を審議中のようですが、法律と生活との間に、架け橋が足りてないのでは、と、強く感じました。
posted by 瀬戸義章 at 21:20 | Comment(0) | 1カ国目「フィリピン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月11日

婚礼ダンスが大人気! フィリピンのオークション・ショー

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テーブルの上に乗ってダンス、ダンス!


フィリピンといえば、歌と踊り。アロマゴミ処理場の、年端も行かない女の子たちも、"Nobady"の振り付けを完璧にマスターしていました。そこで、本場の、ダンスクラブに潜入取材をっ・・・・・・

すみません。嘘です。

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こちらは、日本から輸入した中古品オークション、その名も"ICHIVAN YASUI AUCTION"のようすです。


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「お客さんの表情と、場の流れを見ながら、品出しの順番や、開始価格を一瞬で判断して、かつ盛り上げていくんだ。これはテクニックだね。」と語るのはMCのエリック。


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一つの商品にかける時間はせいぜい1分。その間に商品説明と、競売を、ぱぱぱぱっ、と行います。


このエキサイティングなオークションでは、日本で売れにくい商品を、リサイクルショップ数社から仕入れ、競りにかけています。

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たしかに、大型収納家具や、


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ベッドマットは、日本で中古品を買う事は、なかなかありません。寝具の中古品は、抵抗をもたれますし、収納付きの部屋が増えているからです。


家の広いフィリピン人にとっては、逆に品質のしっかりした大型収納家具は注目されており、特に、無垢材でできた「婚礼家具」は人気だとか。

この日は、高さ180cm×幅220cmのクローゼット×2に最高値の13,500ペソ(約27,000円)の値がつきました。

ちなみにベッドマットは1,000ペソ(約2,000円)で落札されました。

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なんと、仏壇も1,500ペソ(約3,000円)で落札! 飾りとして使う、タンスとして使う、という用途のほかには、数少ない仏教徒が、本来の用途で使うそうです。


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オークションの参加者は、リサイクルショップのバイヤーが中心。大口のバイヤーは、10t車一台分を買っていくときもあるとか。他にも、市長や芸能人、地方の有力者など、ステータスある人々が競りを楽しみます。客席はなんと映画館の座席を再利用!


「だから、"ゴミ"を出品でもしたら、クレームになります。日本ではニーズのない中古品を、こちらで販売しているわけです。」

「ジャンク品はジャンク品で販売できる先はありますし、そういうルートをいくつも持っていれば、結局、ゴミになるものなんてほとんど無いですよ。」とは主催者の吉田さん。

ニーズに合わせた、国際的なリユースを強く感じた日でした。見学させていただいた吉田さん、ありがとうございます!

オークションの情報はコチラから。
posted by 瀬戸義章 at 18:51 | Comment(0) | 1カ国目「フィリピン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする