これは、ヘドロでつくられた屋上緑化材 "greenbiz"だ。極小の孔がいくつも開いたセラミック素材で、保水力に富む。この素材を開発したのは石川県の布地メーカー、小松精練である。
布地の染色によって汚染された水を、微生物によって浄化していた。しかし、その課程でどうしても余剰微生物が発生し「バイオマス汚泥」ができてしまう。その量は毎年6,000トン。処分には約1億2000万円から1億5000万円のコストがかかる。
このヘドロをなんとか活用できないか。2年間、試行錯誤した。
そして生まれたのが、この緑化材だ。ヘドロに珪藻土や粘土を混ぜ合わせ、1,000度で焼成することで、スポンジ状のセラミックとなる。従来品の多孔構造が10〜100マイクロメートルだったのに対し、"greenbiz"は3〜100マイクロメートルの孔を無数に持つ。その微細な孔による保水力や断熱効果をより高めた。屋上緑化だけでなく、壁面の断熱、さらには歩道・車道に用い、ヒートアイランド現象の緩和が期待されている。
ちなみに、環境省の資料によれば、平成20年度排出された産業廃棄物の総量は、約4億366万トン。そのうち約44%を「汚泥」が占めている。汚泥の排出総量は約1億7,611万トンだ。
小松精練は、産廃を自社で活用することで、大きなコスト削減に繋げた。日本全体で産廃の再利用率は53%。まだ「資源」を活用する余地がある。