2011年11月06日

東南アジア 各国の中古市場の現状とこれから まとめ

(1)シンガポール
自国内での中古市場が厚く、また経済も発展しており、日本の不用品を輸出したとしてもまず売れない。ここを拠点とし、近隣諸国に中古品を輸出するビジネスの方が可能性は高いと思われる。

(2)タイ
所得は比較的高いため、日本では需要の無い、古いしっかりとした大型家具が売れる。ただし、かなり発展しており、日本の不用品をそのまま販売しても、数年の後にタイの中古品に競争で勝てなくなる恐れがある。家電類の生産国でもあるため、将来は中古品の輸出国になっていると思われる。日本企業が最も多く進出しているので、進出自体は比較的容易か。

(3)インドネシア
経済的にはかなり発展しているが、日系・ローカル含めリサイクルショップという販売形態はほとんど見られなかった。中古品の売買は青空市場でのやりとり中心なため、それとは一線を画すような見せ方で進出すれば、可能性はある。

(4)フィリピン
どこの国よりもリサイクルショップ、中古品店が多い。「もう過当競争になっている。1,2年経てば力の弱いところがつぶれていく」ため、何らかの差別化が必要。たとえば、出産率が高いので「子ども用品専門」。あるいは流行している「フィットネス用品専門」などか。

(5)ベトナム
ハノイでは「6割の家庭で冷蔵庫を持ち始めた」という経済段階。リサイクルショップという販売形態がほとんど見らないため、競合のいない市場に今のうちに進出できれば今後成長の可能性がある。

(6)カンボジア
経済発展が進みつつも、「モノが無い」状況なので、中古品の市場は期待できる。いま売れているのは衣服や食器中心。家具ならフィリピンの方が高く売れる。プノンペン市にはすでに日系企業進出し、他店舗展開を進めている。街の広さを考えると、差別化の方策が必要。

(7)東ティモール
比較的富裕な「国連・政府職員」と、それ以外の「仕事が無い」層に分かれている。前者向けには新品の家電・家具が販売されているが、中古品販売は見られない。なので、中古品を輸出すれば、ある程度の販売は見込める。それでも日本からの輸出はコスト的に厳しいと思われる。インドネシアやオーストラリアからの中古品輸出が妥当か。現在は経済発展の端緒に着くか否か、といったところであり、大きな売り上げは期待できない。工業・観光の発達も、インフラが整っていないため、時間がかかると思われる。



posted by 瀬戸義章 at 23:52 | Comment(3) | 東南アジア「まとめ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月05日

東南アジアのリユースまとめ

(1)シンガポール

2011110503.jpg
自国内で販売された商品が、中古品として再度流通している。海外から不用品を輸入し、販売するような店舗は見られなかった。家電・家具・衣料品・日用品・雑貨・介護用品まで、その内容は多岐にわたる。キリスト教団体「救世軍」の活動が根強く、習慣化された「寄付」によってリユースが回っていることも特徴のひとつである。


(2)タイ

2011110506.jpg
基本的には自国内で販売された商品が、中古品として再度流通している。ただし、いくつかの場所では、日本の中古品を輸入販売している。品目は、自転車やブランド品、家具などである。輸入中古家電は日本とは規格が異なるため、あまり流通していない。また、一部の有力な寺院では、不用品の寄付を募り、貧しい人びとに提供している。


(3)インドネシア

2011110501.jpg
自国内で販売された商品が、中古品として流通している。特別に日本から中古品を輸入販売しているような店舗は見られなかった。


(4)フィリピン

2011110507.jpg
日本を含む海外からの中古品輸入販売が最も盛ん。特に日本の中古品は人気が高い。テレビの規格が同じであることなどから、家電も売れている。自国内で販売された商品を、中古品としてふたたび販売するような店舗は見られなかった。


(5)ベトナム

2011110505.jpg
日本からの中古PCや、中国やタイから、陸路で運ばれた中古家電・PCが販売されていた。自国内で販売された商品を、中古品としてふたたび販売するような店舗は見られなかった。


(6)カンボジア

2011110504.jpg
衣料品や自転車・バイクなどの中古品が大量に輸入されている。衣服は日本を始め、中国、韓国、アメリカなどから輸入している。


(7)東ティモール

2011110502.jpg
衣料品を除いては、自国どころか輸入した中古品も流通が見られなかった。



posted by 瀬戸義章 at 21:18 | Comment(0) | 東南アジア「まとめ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月04日

東南アジアの廃材リメイクのまとめ

(1)タイ

2011110402.jpg
お土産として、空き缶で作ったトゥクトゥクは有名。バンコクにはエコストアがあり、国内外から仕入れたエコプロダクツが販売されていた(無印良品の製品も陳列されていた)。また、一部のNGOがスラムに住む貧しい女性の自立支援のために、廃材から作った商品の製造販売を行っている。


(2)インドネシア

2011110405.jpg
プラスチック容器包装をつかったポーチやバッグなどが、いくつかの地域で製造されている。3Rの普及啓発につかわれたり、村の収入源のひとつとなっている。


(3)フィリピン

2011110401.jpg
廃材を使ったプロダクツの制作は非常に盛んである。貧しい人びとに仕事を与えるための手段として、国内外のNGOに活用されているからである。そうして作られた商品は、お土産屋に並んだり、また輸出販売されたりしている。マカティ地区には、自国内のみで製造されたオーガニック製品・エコプロダクツを扱う店舗も存在する。


(4)カンボジア

2011110403.jpg
日本、アメリカ、イタリアなど、海外のNGOによって廃材リメイクが盛んに行われている。貧しい人びとに仕事を与えるためである。デザイン性の高い製品が多くあるのも特徴。


(5)東ティモール

2011110404.jpg
コーヒーの殻や書類から固形燃料を作る取組が、一部のNGOで行われていた。


※シンガポールとベトナムでは、廃材リメイクの取組は見られなかった。



posted by 瀬戸義章 at 23:05 | Comment(0) | 東南アジア「まとめ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月03日

東南アジアの「リサイクル」まとめ

(1)シンガポール
ゴミがかんたんに捨てられる(ゴミ箱が多い、部屋にダストシュートがある)ことから、分別の定着に苦労している様子。分別回収用のトラック(荷台に仕切りがあり、缶・ペットボトルなどを分けて運ぶ)が走っていた。


2011110304.jpg
△道にはゴミ箱がごく狭い間隔で並んでいる。



(2)タイ
ピサヌルーク市はリサイクルシティとして全国的に有名。ビンや紙などを色別に分けるなど、数十種類の分別を行っている。コミュニティの長に推進を委託し、有価物の売り上げによって地域活性をするような仕組みができている。収集センターは、分別をレクチャーする場としても使われている。また、チェンマイ市でも、リサイクルを促進するために、各家庭に、ジャンクショップへ有価物を持ち込んだ場合の価格表を配布している。人びとは家計の足しにと、瓶や缶、雑誌などを持ち込んでいる。国として有機農法に力を入れているが、生ゴミを堆肥化する仕組みは、不純物混入の問題などもあり、なかなかうまくいっていない様子。


2011110306.jpg
△ピサヌルーク市の分別表。左上の顔写真は女性市長のもの。



(3)インドネシア
生ゴミのリサイクル、コンポスト化への取り組みが熱心である。スラバヤ市で日本人技術者が開発した「タカクラバスケット」が有名だが、各地方の行政、NGOがコンポスト装置の開発、普及啓発に力を入れて取り組んでいる。別のNGOの活動を見学するなど、横のつながりができつつある。


2011110302.jpg
△通常一ヵ月かかる堆肥化を二週間に短縮した「タカクラバスケット」



(4)フィリピン
あちこちでゴミがポイ捨てされている。不法投棄の禁止や、分別の義務化などを法律でうたっているが、効果を発揮できていない。投棄されたゴミから有価物を見つけて販売する「スカベンジャー」が活動し、そのスカベンジャーたちから有価物を買取るジャンクショップが非常に多く、このインフォーマルな活動によってリサイクルが回っているとも言える。ジャンクショップで買い取られた有価物は、自国の工場、あるいは中国に輸出販売される。


2011110307.jpg
△鉄くずを扱うジャンクショップ



(5)ベトナム
ハノイ市近郊に「リサイクル村」とよばれる場所がいくつもある。収集・分別・加工など、リサイクルのいずれかの工程を、ほぼすべての家庭で行っており、それが基幹産業として成り立っているような村である。「プラスチックリサイクル専門の村」「段ボールリサイクル専門の村」「鉄くずリサイクル専門の村」など、それぞれの村が素材ごとに特化しているのも大きな特徴である。そうした村の中には、設備投資をして工業化し経済的に成功した家庭も多くある。「リサイクル御殿」と呼ばれている。一方、行政は分別を推進しているが、定着しないことに頭を悩ませている。


2011110305.jpg
△段ボールをトイレットペーパーにリサイクルすることで生計を立てるズオンオ村。



(6)カンボジア
フィリピンと同様に、あちこちでゴミがポイ捨てされており、その中から有価物を拾ってジャンクショップに売るスカベンジャーによってリサイクルが回っている。


2011110301.jpg
△清掃局に保管されていた新品のゴミ箱。



(7)東ティモール
フォーマル、インフォーマルともにリサイクルがあまり機能していない。インフラが未整備で、物流コストが高いため、有価物の売却にそれほどメリットが無いからだと考えられる。道に空き缶が落ちたままになっている唯一の国である。


2011110303.jpg
△あちこちの道ばたに空き缶が転がっていた。



posted by 瀬戸義章 at 12:04 | Comment(0) | 東南アジア「まとめ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月02日

東南アジア7ヶ国のゴミ処理まとめ

(1)シンガポール
ゴミのポイ捨てに罰則が課せられているためか、道に落ちているゴミは少ない。(とはいえ、まったく落ちていないわけではない。日本と同じくらいか)また、設置されているゴミ箱の数も非常に多い(23区ほどの面積に1万個以上)。集合住宅のほとんどにはダストシュートがもうけられており、住民にとってゴミ捨ての利便性は非常に高い。また、飲食店には専用の車輪つきゴミ箱を使うように定められている。以上より、収集までの段階においてはかなりきちんとした仕組みが構築されている。収集されたゴミは、無人島に運ばれ、そこで埋め立てられている。

(2)タイ
ゴミは道には少ないが、植え込みの陰にはたくさんある、と言った状況。見栄っ張りのタイ人らしいかもしれない。バンコクの中間処理場は車で30分ほど回るようなかなり大きな敷地をもつ。手作業での分別や、原始的な機械による乾燥などが行われていた。ピサヌルーク市の最終処分場は、オープンダンプだが、生ゴミが少ないのか、それほど悪臭はしなく、安定しているように見えた。埋め立て地から逆にプラスチックを掘り出し、燃料として使う取組を始めている。

(3)インドネシア
ときおり、川岸や木陰などに、ゴミがまとめて投棄されている。収集されたゴミは埋め立て地へ運ばれるが、生ゴミを処理するために「牛」が放し飼いにされており、餌として食べさせるというユニークな取組を行っている。

(4)フィリピン
民間業者により、曜日別収集が行われているが、不法投棄が非常におおい。地方ではあちこちでゴミの野焼きが行われている。マニラ市のゴミはいったん中間処理場(といっても、スカベンジャーが群がることで有価物を回収するような"中間処理"だが)を経て、別の島の埋め立て地へと運ばれていく。

(5)ベトナム
ポイ捨てはそれほど多くない。ハノイ市では建都千年祭もあり、街の美化に力を入れたとのこと。収集にはカートが使われている。夕方、女性収集員がカゴを押しながら、通りを歩き、時々止まってベルを鳴らす。すると人びとが集まってきて、カゴの中にゴミを入れる。そしていっぱいになったカートを道に並べ、収集車の中にまとめて放り込む、という仕組みだ。収集されたゴミは、そのまま埋め立て地へと運ばれる。


(6)カンボジア
行政は、まずゴミを道に捨てないように、そして生ゴミと無機ゴミを分けて捨てるようにと啓蒙に力を入れている。しかし、定着には時間がかかりそうである


(7)東ティモール
首都ディリでは、30台ほどのトラックが収集し、埋め立て地へと運んでいる。地方では空き地に投棄されている。



posted by 瀬戸義章 at 21:50 | Comment(0) | 東南アジア「まとめ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする