ゴミがかんたんに捨てられる(ゴミ箱が多い、部屋にダストシュートがある)ことから、分別の定着に苦労している様子。分別回収用のトラック(荷台に仕切りがあり、缶・ペットボトルなどを分けて運ぶ)が走っていた。
△道にはゴミ箱がごく狭い間隔で並んでいる。
(2)タイ
ピサヌルーク市はリサイクルシティとして全国的に有名。ビンや紙などを色別に分けるなど、数十種類の分別を行っている。コミュニティの長に推進を委託し、有価物の売り上げによって地域活性をするような仕組みができている。収集センターは、分別をレクチャーする場としても使われている。また、チェンマイ市でも、リサイクルを促進するために、各家庭に、ジャンクショップへ有価物を持ち込んだ場合の価格表を配布している。人びとは家計の足しにと、瓶や缶、雑誌などを持ち込んでいる。国として有機農法に力を入れているが、生ゴミを堆肥化する仕組みは、不純物混入の問題などもあり、なかなかうまくいっていない様子。
△ピサヌルーク市の分別表。左上の顔写真は女性市長のもの。
(3)インドネシア
生ゴミのリサイクル、コンポスト化への取り組みが熱心である。スラバヤ市で日本人技術者が開発した「タカクラバスケット」が有名だが、各地方の行政、NGOがコンポスト装置の開発、普及啓発に力を入れて取り組んでいる。別のNGOの活動を見学するなど、横のつながりができつつある。
△通常一ヵ月かかる堆肥化を二週間に短縮した「タカクラバスケット」
(4)フィリピン
あちこちでゴミがポイ捨てされている。不法投棄の禁止や、分別の義務化などを法律でうたっているが、効果を発揮できていない。投棄されたゴミから有価物を見つけて販売する「スカベンジャー」が活動し、そのスカベンジャーたちから有価物を買取るジャンクショップが非常に多く、このインフォーマルな活動によってリサイクルが回っているとも言える。ジャンクショップで買い取られた有価物は、自国の工場、あるいは中国に輸出販売される。
△鉄くずを扱うジャンクショップ
(5)ベトナム
ハノイ市近郊に「リサイクル村」とよばれる場所がいくつもある。収集・分別・加工など、リサイクルのいずれかの工程を、ほぼすべての家庭で行っており、それが基幹産業として成り立っているような村である。「プラスチックリサイクル専門の村」「段ボールリサイクル専門の村」「鉄くずリサイクル専門の村」など、それぞれの村が素材ごとに特化しているのも大きな特徴である。そうした村の中には、設備投資をして工業化し経済的に成功した家庭も多くある。「リサイクル御殿」と呼ばれている。一方、行政は分別を推進しているが、定着しないことに頭を悩ませている。
△段ボールをトイレットペーパーにリサイクルすることで生計を立てるズオンオ村。
(6)カンボジア
フィリピンと同様に、あちこちでゴミがポイ捨てされており、その中から有価物を拾ってジャンクショップに売るスカベンジャーによってリサイクルが回っている。
△清掃局に保管されていた新品のゴミ箱。
(7)東ティモール
フォーマル、インフォーマルともにリサイクルがあまり機能していない。インフラが未整備で、物流コストが高いため、有価物の売却にそれほどメリットが無いからだと考えられる。道に空き缶が落ちたままになっている唯一の国である。
△あちこちの道ばたに空き缶が転がっていた。