2011年10月19日

一年間ゴミを出さないで暮らした家族――"No Impact Man"



一年間、ゴミを出さないで暮らした家族のドキュメンタリー映画が「地球にやさしい生活(原題:No Impact Man)」だ。

場所はニューヨーク。マンハッタンのど真ん中。作家のコリン・ビーヴァンは、経済記者の妻、2歳の娘とともに"No Impact Project"に挑戦する。それは、可能な限り環境への影響をあたえずに、家庭生活を送ること。

(1)車・電車・飛行機を使わない。
(2)ゴミを出さない。
(3)400km以上離れた場所からの食品を買わない。
(4)電気を使わない。

というように、段階的にインパクトを減らしていく。

ゴミはどうすれば出さないか。まず、新しい物は買わない。それから、食料は包装されていないものを、青空市場で買ってくる。外食はしない。ナプキンやティッシュ・オムツ・トイレットペーパーはすべてボロ布を使う。どうしても出る生ゴミは「ミミズ箱」でコンポスト化するという徹底ぶり。

電気を使わないためには、照明はすべてロウソク。冷蔵庫はクーラーボックスに氷を入れる。どうしても必要な分は、ソーラーパネルで発電する。

なんとも手間がかかる生活で、実際に協力者の妻はしょっちゅう愚痴をこぼすし、当のコリンも「クソッ! なんて不便なんだ」と不満を漏らすこともある。「偽善者」「不衛生」「英雄気取り」などなど誹謗中傷も浴びる。

でも、全体に流れるのは「楽しもう」という気持ちだ。

バスタブに自家製の洗剤と洗濯物を入れて親子3人で足踏みしたり、電気を使わなくするためにブレーカーを落とした夜は、友達を呼んでキャンドルパーティーをしたり、自転車で町を駆け回って気持ちいい海岸を見つけたり。

それはきっと、「変化」に適応するためにとても大事なこと。どんなに安定しているかのように思えるシステムも、突発的に、あるいは漸次的にエラーが起きる。そうしたときでも、工夫すればどうにかやっていけるさ、と思うことは、たぶん生きるためにとても必要なことだ。

1年たって、電気をつける暮らしには戻った。なにもかもすべて徹底しつづけるつもりはない。そこまでストイックに生きることはとても難しい。でも、少しの不便は、友達を作って、健康になる方法の一つなのかもしれない。彼らは「不便さ」と引き替えに、こんなものを手に入れた。

・家族と過ごす時間が増えた。
・友人と過ごす時間が増えた。
・生産者と友人になれた。
・ジムに通わず10kgやせた。
・糖尿病の兆候が改善した。
・買い物中毒から抜け出せた。
・ニューヨークの魅力をより知ることができた。
・四季を自然で感じるようになった。

現在、新宿武蔵野館・ヒューマントラストシネマ有楽町で上映中。


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