2011年09月29日

音楽は被災地になにをできたか

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ドン!

体育館いっぱいに広がったそれは、耳で聞くのではなく、丹田で感じるような、力強い音。和太鼓が、聴くだけで元気が出る楽器だと、はじめて知った。

和太鼓奏者、上田秀一郎による演奏だ。氏は復興支援のため「光灯せし希望と祈りの太鼓」プロジェトを立ち上げ、これまでに相馬市合同慰霊祭、南相馬市原町第二中学校、サンピア仙台、登米市津山若者総合体育館、志津川ホテル観洋、仙台市宮城野区東宮城野小学校、仙台市宮城野区「見瑞寺」チャリティー演奏、女川第一中学校、女川総合体育館、石巻市渡波小学校、石巻市北上町子育て支援センターなど、各地での演奏を続けている。体育館で聞いた小学生は「かっけー」「すごいね」とみとれていた。

元気。何よりも復興に必要なものを、届けている。


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彼がステージに上がったとたん、会場にさっと華やぎがおりた。

お姉さん・お母さん・おばあちゃん。女性陣が色めきたったのがわかる。表情がちがう。「米米CLUB」のボーカリスト、石井竜也の登場だ。石巻市の避難所渡波小学校でのサプライズライブ。彼もまた、故郷の北茨城市が津波被害を受け、実家も思い出の品も全て流されてしまったという。そんな自分自身に聴かせるかのように制作した震災応援ソング「つよくいきよう」を、思いを込めて、全員で斉唱した。避難所のリーダーの高橋氏の奥さんは、石井竜也の大ファン。

「あんたと結婚してはじめてよかったと思ったわ、なんて言われましたよ」

被災地に「休日」が届けられた瞬間だった。


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「ガッツだぜ!」

会場中がこぶしをあげて熱唱する。トータス松本が出演した、仙台市の三井アウトレットパークで行われた復興イベント"LIGHT UP NIPPON"の最後のステージだ。何度も、何度も、全員で声を張り上げる。もともとお祭り好きな人びとなのだ。盛りあがる。

明日をちょっとよく生きるための今日。


音楽はずっと鳴り響いたわけではなく、長い被災地の「日常」から見ればばほんの一瞬だったかもしれない。けれど、聴く前と聴いたあとでは、少しだけ世界が違って見えたと思う。


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