2011年09月22日

"まち"のリサイクル

東北沿岸、住民票ベースで人口5万人減 復興急務
「東日本大震災で津波被害の大きかった岩手、宮城、福島3県の沿岸部にある市町村で、震災後に人口が計4万9886人減少したことが分かった。(2011.9.19 MSN産経ニュース)」

webサイト「社会実情データ図録」によると、岩手県大槌町・陸前高田市、宮城県南三陸町・女川町・山元町、福島県富岡町などの人口減少率が、半年間で6〜12%と、極めて高い値になっている。

南三陸町 ホテル観洋の阿部憲子女将は「人がいなくなってしまうことがいちばん恐ろしい」と言う。一つの企業がどれだけ努力しても、人口が流失し続ければ、立ちゆくことはできない。町に活気を取り戻そうと、4月23日、まだ水道も復旧していない段階で、レストランを再開した。入社2年目のスタッフが大きく『営業中』と書いた看板で呼び込みをした。また、ホテルのなかでは東北大学のボランティアが小・中学生を対象に勉強を教える「寺子屋」を開いている。

「"支援"じゃないだろう、と。いっしょに新しい社会を作らせてくださいと言う気持ちです。」
7月11日に開設した、アミタグループ東北オフィスの佐藤さんに、なぜ名刺の肩書きが「特命係」なのかと尋ねたら、こうした答えだった。(ちなみに、『相棒』は知らないとのこと。)

アミタはもともと産業廃棄物、亜鉛の再資源化からスタートした会社だ。そしていま、南三陸町歌津の「再生」を手がけようとしている。1次産業・2次産業・3次産業を横断的につなげて、その町でしかうみだせないブランドを創る。そんな新しい未来を作っていこうとしている。

アミタのリサイクルの視点は、30年の間に、いわゆる「資源」にとどまらず、エネルギーの再生から、森林・里山・里海の再生までを手がけるようになった。一つの例が「森林ノ牧場」。栃木県の那須でアミタが運営している牧場だ。ここでは、牛が森を育て、森が牛を育てている。その牛乳、なんと1本600円。手入れをされず放置されたままの森林と、飼料を自給できない酪農。その二つを結びつけることで、持続可能な森林管理と酪農を両立させる新しいモデルである。森林のなかに牛たちを放牧し、木の葉や草を食べさせることで、森の開拓をする。一方、森で育った牛の乳製品で、人は経済を成り立たせる。こういった仕組みだ。

そう聞いて、「文化のリサイクル」という言葉を思いだした。ベトナム中部に位置する古都、フエを訪れた時のことだ。

「フエは竜宮城なんです」

ミャンマーとベトナムで活動する国際協力NGO"Bridge Asia Japan"のベトナム連絡員 フィンさんは、呆れるほどに濃いベトナムコーヒーをすすりながら、そう言っていた。

昔話の『浦島太郎』が訪れた竜宮城は、ベトナムのフエだったという説があるそうだ。かつてはそれだけの栄華を誇っていたフエには、すばらしい伝統がいくつもある、料理一つとってみてもそうだ。ブンボーフエ(豚骨スープの麺料理)は言うにおよばず、バインコアイ(米粉のお好み焼き)やバインベオ(小皿蒸し餅)に、コムアンフー(五目混ぜご飯)。「お米」をどれだけ活かしきっていることだろう。でも、いまは伝統料理や伝統野菜が廃れてきてしまっている。だからtwitterなどのwebサービスを利用して、伝統野菜の生産者と街の消費者をつなぎ、調理法も伝えて「文化のリサイクル」をしていきたい、と。

民話や歴史といった文化も、野菜や牛や山やといった自然も、そして人も、すべて「資源」。そう捉え直すことこそが、ほんとうの"リサイクル"なのかもしれない。


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