

上の写真は、宮城県南三陸町の石浜避難所、下は宮城県石巻市の避難所、渡波小学校。いずれも、写っているのはソーラーランタン"d-light"です。日中、陽の光に当て充電することで、夜間ずっと点灯し続けることができます。トイレや廊下の照明などに活用されています。(9月7日時点で、渡波小学校にはいまだ94名の方が避難生活を余儀なくされており、「活用されていた」と過去形にできないことが残念です……)

こちらは、宮城県岩沼市寺島で利用されている、持ち運びが簡易なソーラーパネル。携帯電話やゲーム機などの充電ができます。
これらのプロダクトはNPO「コペルニク」によってもたらされたものです。コペルニクでは、3月11日の震災を受けて、支援プロジェクトを直ちに実施。ソーラーランタンやソーラーパネルのほかに、太陽光で充電で切る補聴器などが数回にわたって運ばれました。
ちなみに、もともとは、電気・水道・ガスなどのライフラインが未整備である、貧困地域での生活水準向上のためのプロダクツです。


これは東北を訪れるほんの三ヵ月前に見た、東ティモールでの光景です。先述のソーラーランタンやソーラーパネルをはじめ、「度数の調節ができるメガネ」や「ゴミを燃料にする調理用コンロ」「浄水機能付きストロー」など、"叡智に富んだローテク"とも言うべき製品ラインナップを見ることができました。コペルニクは、アメリカやイギリス・スペイン・オランダ・インドネシア・ブラジル・インドといった国々の企業・NGOからテクノロジーの提供を受けています。

一方、建設コンサル事業を営む日本振興社が、南三陸町の避難所に提供したのは「水で電気を起こすランタン」でした。炭とアルミホイルが電極となっており、電解質がスポンジに含まれている。そこに水分を加えることで、電気が発生しLEDが灯る、という仕組みです。
そういえば、『MASTERキートン』ではリンゴの果汁でライトを作っていましたね。
ちなみに、災害時のサバイバルノウハウを集めたサイトがありました。
『OLIVE 生きろ日本。被災地での生活で作れるデザイン/飲食料/アイデアのwiki。』
途上国の「日常」を向上するためのテクノロジーやノウハウ。
先進国の「非日常」を向上するためのテクノロジーやノウハウ。
かなり近しいものがあると思いませんか?
30年以内に都心部でマグニチュード7.0以上の地震が起きる確率は70パーセントだと言われています。
いずれ「非日常」が起きるのだとしたら、世界市場を視野に入れて、研究開発のリソースを「ローテク」に振り分けても良いのでは? 自動車と携帯電話とパソコンと家電の新製品カタログを見ながら、そう感じました。
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