2011年08月25日

「食」の価値を伝える

復興支援活動をしていく中でお世話になった仙台の農業生産法人『舞台ファーム』さんのwebサイトにて、東日本大震災のコラムを10回に渡って書かせて戴きました。順次転載していきます。これは6月29日に書いた、第四回目の記事です。

失われたものと、伝えるべきこと。

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東日本大震災により、農業・漁業・畜産業・林業が受けた被害の総額は、1兆9,596億円である(6月26日 農林水産省発表)。この被害額は、阪神大震災の22倍だ。

農業分野では、畑や田んぼにガレキやヘドロが堆積し、ビニールハウスや耕耘機・トラックが流失した。農道や水路も失われた。漁業分野では、漁船・漁港はもとより、養殖施設や水産加工場・市場が損壊した。

失われたのは「つくる」基盤だけではない。「つくったあと」の流通・販路のシステムまでもが崩壊したのだ。極端な話、いままでは美味しいものを作りさえすれば稼げていた。農協や市場に持っていけばよかった。ところが、その仕組みが無くなってしまった。

この状況の中、『東北の「食」を守る』をコンセプトに、発足したのが『東の食の会』である。代表理事を楠本修二郎氏(カフェ・カンパニー株式会社)と島宏平氏(オイシックス株式会社)が務めるこの団体は、東北の生産者と、飲食店や食品関連企業をマッチングしていく。

我々舞台ファームも「ササニシキ復権」と題して、宮城のブランド米を今秋プロモーションしていく予定だ。「買い支え」をしていただくことは、商売人にとって、これほどありがたい話は無い。

しかし、消費者にとって「被災地の農産物」を食べる不安は根強いだろう。

「あまり過度に反応してはいけないと思いつつ、やはり連日の原発報道や、放射能が検知された食品に関してすごく気になります。正直なところ本当に、東京で今売っている野菜や、食品は大丈夫なのでしょうか?うちには小さい子供もいるので、野菜や牛乳を買うのを止めようかとも思ってます。」Q&Aサイトの『OKWave』内での質問だ。

また、『SankeiBiz』によると、横浜市が、学校給食に使う食材の放射性物質(放射能)の測定を6月16日から開始したそうだ。『同市では給食の食材に福島県産や茨城県産など被災地の野菜や肉を使っており、保護者からの「放射性物質の検査をしてほしい」との要望に応えたものだ。』記事にはこう書かれている。

どの食品が「汚れていて」、どの食品が「汚れていない」のか。何よりもいま、この情報が求められている。

舞台ファームは、農産物を生産し、販売するものとして、この放射線検査を実施していく。測定を毎日行い、野菜にその情報をプラスする。徹底した情報の提供は、価値の向上に繋がるだろう。放射線量測定は自社の畑だけでなく、各地の農業生産者と連携して行う。伝え続けることで、東北の信頼を”再建”する。

伝えるべきは、「放射線量の有無」だけではない。

この震災は、多くのことを私たちに教えてくれた。

ある解体業者の社長はこう語る。
「一番先にやらなければならない最前線の仕事だった。業界の存在意義を考えさせられた」
人を救う。道を作る。ものを運ぶ。町を治める…………

自分たちの仕事の意義を、改めて見出せた方も多いのではないだろうか。

舞台ファームが避難所に届けた食料は、「笑顔」となった。「生きていける」。その喜びとなった。それが「食」の価値だと、教えてくれた。この気づきを、次は、私たちが発信していく。それができてこそ、新しい農業モデルといえるだろう。



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