2011年08月24日

再建の追体験

復興支援活動をしていく中でお世話になった仙台の農業生産法人『舞台ファーム』さんのwebサイトにて、東日本大震災のコラムを10回に渡って書かせて戴きました。順次転載していきます。これは6月23日に書いた、第三回目の記事。

いまの日本で、「なにもない」から何かを作り上げる体験ができる被災地は、貴重な場所だと思うのです。

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「沖合に海水と岩の群をまくし上げた海面は、不気味に盛り上がった。そして、壮大な水の壁となると、初めはゆっくりと、やがて速度を増して海岸へと突進しはじめた」

『三陸海岸大津波』の一節だ。

このルポルタージュは、2011年3月11日に発生した東日本大震災による津波被害を描いたものでは、無い。

1896年6月15日に発生した明治三陸地震、1933年3月3日に発生した昭和三陸地震、そして、1960年5月22日に発生したチリ地震による津波被害を、吉村昭が克明に記録した作品だ。明治三陸地震では、海抜38.2mの高さまで津波が到達したという。

115年前の津波は、今回の大震災と同様の規模であった。しかし、どれだけの人がそれを語り継いだだろうか。

東日本大震災から、100日以上が経過した。3月12日(土)時点で、YAHOO!ニュースのトピックスにおける震災記事の割合は91%(30/33記事)だったが、6月12日(日)では13%(7/54記事)に減っている。すでに震災は目新しいものでも、新しいものでもない。“ニュース”ではなくなりつつある事が分かる。

「まだこんなに辛く苦しいのだから、被災地のことを忘れずに助けて」とは言わない。

こう言おう。
「もったいない」

我々は、再建を体験する。

1次産業が見直され、まったく新しい先進的な農業モデル・漁業モデルが構築される。ガレキのリサイクルから得たノウハウを元に、静脈産業と動脈産業をミックスした循環型社会が生まれる。リスクを極力減らせる地域コミュニティの緩やかなネットワークが誕生する。

2,000万トンのガレキとヘドロを少しずつ取り除く今日は、5年後・10年後のためにこそある。このチャレンジこそが、財産だ。それをいっしょに感じて欲しい。

離れていても、ストーリーを共有することはできる。

舞台ファームでは「復興カレーセット」という商品を企画している。専門店のレトルトカレールウと、東北の肉・野菜セットだ。野菜の皮をむいて、適当な大きさに切って、煮込むだけで レストランの味が楽しめる。

休日、子どもいっしょに、家族でわいわい言いながら作って、食べて欲しい。そのとき、被災地のことを話題にしてもらえたら。「東北の野菜って美味しいね」と笑顔になってもらえたら。それがきっと、復興という体験だ。

10年後、いまを振り返って、いっしょに笑おう。


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