
スラバヤ市のRungkut Lor通り周辺は、緑にあふれています。まるで家どうし競い合っているかのように、植え込みには様々な種類の草花が並んでいます。なかには、傷を直す薬草も栽培されてます。この地域で園芸が盛んになったのは、生ゴミのコンポスト化が、ある発明によって、ぐっと進んだからなのです。

その発明品とは、以前の記事でもご紹介した家庭用のコンポスト装置「タカクラバスケット」。これが開発されたのは2006年。それまでは、緑はなく、道にゴミがあふれていました。しかし、バスケットが普及するにつれてゴミは減っていき、いまでは、美しい地域として、市から表彰を受けるまでになっています。

こちらは、地域の婦人会。主に就学前の乳幼児の世話などを行っていますが、タカクラバスケットの普及にも携わっています。
婦人会メンバーのひとり、Marianaに、バスケットの使用感を尋ねました。
「もちろん、ゴミを減らすのに役立ってます。それから、趣味で園芸をやっているんですが、腐葉土を買う必要がなくなりました。コンポストによって、いい土が無料で手に入るんですから」

しかし、すべての家で、この「魔法のバケツ」が使われているわけではありません。歩いて聞いた限りでは、10軒に1軒ほどの普及率でしょうか。中には、買ったけれども、放置して使っていない、という家庭もありました。
「『かき混ぜるのが汚くてさ』『いままでとちがう事をやるのは手間がかかるよ』という声があるのは事実です。でも、道にポイ捨てをしていては、ずっと臭い暮らしのまま。わたしたちは、きちんとゴミの処理をすることの意義に気づいていく必要があると思います」
カンボジアでは、ゴミをゴミ箱に捨てる事、分別する事を伝えるのに、行政官が手こずっていましたが、インドネシアでは、地域に住む人びと自身が推進していく、という一歩進んだ段階のようです(もちろんインドネシア国内での地域差はかなりありますが)。

帰り道、通りの壁に、コンポストの意義を伝える絵を見つけました。