
ここは、インドネシアのジョグジャカルタ市。チョデ川に架かるこの橋は、実は、日本で撤去された橋が「リユース」されたものです。
もともとこの橋は、1968年の高度経済成長期、大阪府の守口市に建設された歩道橋です。時が経つにつれ、少子高齢化が進み、通学に使う児童が徐々に減っていきます。そして、近くに横断歩道ができたことなどから、日中の利用者数が二十人以下に減少しました。維持管理費用がかさむため、大阪府は撤去を判断します。
そんな中、2006年にインドネシアのジャワ島中部で地震が発生。大阪府の職員も、復旧支援のためジョグジャカルタへ駆けつけます。地震に伴って起きた土石流により、もともとあった橋は崩落していました。そこで職員が受けた要望の一つが、「撤去する橋があるのなら活用したい」。

そこで府はプロジェクトを発足。協賛金を募って、歩道橋の点検・再整備やインドネシアへの運搬を行い、2008年2月に、チョデ川での設置が完了した、というわけです。
ちなみに、こうした橋のリユースにはいくつが前例があります。たとえば、あのマザーグースの歌で有名な「ロンドン橋」。1831年に造られたこの橋は、その役目を終えたとき、アメリカの投資家に売却されます。そして1971年アリゾナ州のレイクハバスに設置され、いまでも観光名所になっています。

チョデ川で遊んでいた、近くに住む中学生のAji君に感想を聞いてみました。
「前は遠回りしなきゃいけなかったから、橋ができて便利」
通学の道のりが2km短縮されたそうです。

橋の向こうは、3万人の学生が通うというGajah Mada大学、そして病院。緊急時に素早く移動ができるようになりました。
12月など、雨が多いシーズンは水深が深くなるようですが、今ははだいぶ浅い様子。と、いうのも上流から砂が流れ、堆積しているからだそうです。


上は敷設直後の写真、下は2011年2月に撮影した写真。相当に砂が溜まっているようです。……橋が埋まってしまわない事を祈ります。