公園に敷かれている、青と白のモノ。キレイにさえ見えますが、いったいなんだと思いますか? 正解は、プラスチックの破片。飲料や洗剤の容器・洗面器・簡易イス・包装材など、さまざまな製品の原料となるプラスチックを、分別し、ラベルをはがし、粉々に砕いたモノです。
ここは、ハノイ市近郊のチュウクック(Trieu Khuc)村。ハノイ市内の中心から30分。村といっても、街→田園→農村という位置関係ではなく、すぐ隣にあります。前回の記事(ダンボールを集めて豪邸が建った!? ベトナムのリサイクル村事情#1)では、「紙」を専門にリサイクルする村をご紹介しましたが、ここでは「プラスチック」を専門にリサイクルしていました。
ズオンオ村では、ほとんどの家庭で、製紙が行われていましたが、この村は、多くの工程を分業しています。
まずは分別。集めたプラスチック製品を、色・種類ごとに分けていきます。
次に、不純物の除去。包装材の色の付いた部分を取り除いたり、
ボトルの印字された表面を削ったりしています。
いずれも、作業は玄関前で行われていました。
ここでは、ペットボトルのラベルとふたをはがしていました。シュッ、とラベルをはがし、クルッとふたを回し、ポイッ。鮮やかな手並みです。
それもそのはず、これだけの量を、ひたすら、手で取り除いています。
不純物の除去をしたあとは、破砕や加熱処理をして、工場に運んでいきます。
冒頭の破片は、この機械をつかって、プラスチック製品を粉々に砕いて作りました。公園に敷いているのは、乾かすためです。
いくつかの住居兼工場では、一度溶かしてペレットを作っていました。排煙処理も何もしていないため、煙が充満し、居続けるのがつらい場所でしたが……
こうして加工されたプラスチックは、工場に運ばれ、
日用品に生まれ変わります。
ここにも「リサイクル御殿」が建ち並んでいました、『ベトナム・ハノイ近郊のリサイクル村』(坂田正三 アジ研ワールド・トレンドNO.145 2007.10)に、次のような記述がありました。「リサイクル村は近隣農村に比べ非常に豊かである。筆者が調査でリサイクル村に行く時、道に迷うことは少ない。水田が広がる農村の風景の中に大きな邸宅群がそびえる一角が見えてきたら、そこがリサイクル村だからである。」
一方で、クーシン菜の畑には、ゴミの混じった排水が垂れ流されています。
「水道がきていないから、地下水を使っているんです」という女の子がいました。
ベトナムでは、「リサイクルをしましょう」と呼びかけずとも、すでに産業として成り立っているようです。ここに、ローテクかつ先進的な浄化装置を導入できれば、よりサステナブルな社会になると感じました。