2010年12月16日

中古テレビが抱える問題。BAN Richard Gutierrez氏へのインタビュー

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国際NGO BAN TOXICSの代表、Gutierrez氏にインタビューをしました。

――E-waste問題について教えてください。

「1999年、日本企業から、注射針など医療廃棄物が届いた。フィリピンの有害廃棄物問題は、これに端を発している。彼らにとっての利益を追求した結果だろう。E-waste問題も、この有害廃棄物問題の一つだ。」

「街を歩けばわかると思うが、フィリピンには、日本の中古テレビが並ぶ店が、いくつもある。フィリピンの中古テレビは、ほとんどが日本製、まれに韓国製だ。日本とフィリピンのTVシグナルが同じで、少しのカスタマイズで使えるようになるからだ。だから、日本から、たくさんの中古テレビが輸入されていることが、君も分かると思う。しかし、JICAのリサーチでは、フィリピンに輸入される中古品のうち、平均すると、10%がゴミだそうだ。中には、コンテナの半分以上がゴミだったケースもある。画面が割れているテレビ、映らないテレビ、修理不可なテレビが店で売れるはずも無い。JUNK SHOPに送られるか、そのまま捨てられる。その処理が問題なんだ。フィリピンでは、ゴミ処理はインフォーマルセクター、つまり、スカベンジャーたちによって行われる。」

「君も素手で家電を解体しているところを見たのか。(「リサイクルのかなめ。フィリピンJUNK SHOP事情#2 http://gomi-tabi.com/article/172099878.html)電化製品には、鉛やカドミウム、水銀などの有害物質が含まれている。そんなふうに解体していて、健康被害が起きないはずは無いんだ。彼らは、ブラウン管のガラスに有毒な鉛が含まれている事を知らずに、運びやすくするため叩き壊しているし、、AVケーブルの皮膜を剥ぐために、燃やしたりしている。ちなみに、そうして分別した後は、中国に輸出している。フィリピンには再資源化できるところが少ないからだ。」

「この問題は貧困が絡んでいるから、解決することは極めて困難だ。今日、食べていくためにやっている彼らに、ゴミを拾うなとは言えない。」

――どれくらいの被害が出ているのですか?
「まだ、具体的にはわからないんだ。定量的な調査をしているところだ。」


――BANの活動を教えてください。

「BANはジャーナリスティックに活動している。具体的には、TV5やCBSなどのテレビ局に、ニュースを提供している。たとえばこれは、来週放送される番組だ。E-wasteの問題を取り上げている。」



――問題の解決には、何が必要だと思いますか?

「日本での規制だ。フィリピン側でコントロールすることが困難だからだ。君のラップトップPCの電源を切れていたとしよう。それを見て、使えるのか/壊れているのか、判断することは我々には非常に難しい。だから、そもそも壊れている物を輸出にしないようにすべきだ。」

「もともと、国家間の廃棄物の輸出入を禁止する、バーゼル条約があるんだ。しかし、日本は、この条約のアップグレード版を批准していない。それどころか、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)によって、規制を緩和しようとしている。」

「すべての中古品が悪ではない。だから、"Not only working but also apropreate."を望む。壊れているだけでなくて、我々が使う『商品』を送ってほしい。たとえば、動くからといって、白黒テレビを送られても、商品にはなりえない。」

「日本では、水銀によって水俣病が引き起こされただろう。先日、日本に行った際に、彼らと面会をしてきたが、この悲劇を起こさないようにしてほしい。」

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Mr.Richard ありがとうございました。
posted by 瀬戸義章 at 17:13 | Comment(0) | 1カ国目「フィリピン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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