2010年11月29日

『BASURA』の世界へ

"Jumper is not allowed."

手書きの看板には、そう書かれていた。

「Jumperとはどういう意味?」同行してくれたクリスティーナに尋ねる。
「ゴミ収集車に飛び乗る人のことよ。たくさんのひとが集まるからとても危ないの」。







マニラ北西部に位置する、トンド地区のアロマゴミ捨て場。広さ2万平方メートル以上。クリスティーナによると、市内各地から、1日にトラック300台ものゴミが運ばれてくる。ゴミはここで船に詰まれ、別の島に運ばれていく。作業をしている車とパワーショベルの周りには、多くの「スカベンジャー」と呼ばれる人々。スカベンジャーの多くが、ここで一日中、働く。つまり、ゴミの中から、鉄くず、缶、瓶、ペットボトル、軟質/硬質プラスチックを探し出し、集め、そしてJUNK SHOPに売却する。


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去年、RA9001という法律によって、家庭ごみの分別が義務付けられるようになったそうだが、仕組みも意識も追いついていないようだ。生ゴミもプラスチックゴミも一緒くたにされて、荷台からどっと捨てられる。

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「どれくらい働くの?」
「朝の6時から夜6時まで。それで稼ぎが60ペソ(約120円)。」

彼には、奥さんと子供が二人いるそうだ。

「ここから出て、ほかの仕事をしたい。でも、なかなか見つからないんだ」

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フィリピンに20年以上暮らす、日本人ツアーガイドに話を聞いた。

この地区に住む人は年々減ってはいるらしい。もともと国有地で、勝手に住み着いている住民は立ち退きを命じられ、住宅が与えられるそうだ。しかし、中には、その住宅を売ってしまって、ここに戻ってくる事もいる。

新しい仕事が見つからなかったり、仕事が見つかっても税金が高かったり(ゴミ捨て場の生活には税金はかからない)、同じスカベンジャーをするには、近いほうが便利だからだ。

抜本的な対策は政府の政策からはずれており、この地区に進出しようとする物好きな企業も無い。

では、どうするか。

スカベンジャーと呼ばれているが、彼らがしていることは「リサイクル」だ。リサイクルは下流で行うよりも上流で行うほうが労力が小さい。各家庭できちんと分別すれば、ゴミの山から掘り出さなくてすむ。

問題が
・ゴミ分別をする、という意識が無い。
・分別したゴミを車で集める予算が無い。
の二点であれば、各家庭に訪問し、ごみ収集することを
彼らの新しい仕事とするのはどうだろうか。

街のあちこちに一時集積所を設けて、彼らが戸別訪問してゴミを集積する。日本の「新聞配達」のように

今でもしているかもしれないが、重要なのが、そこで分ける事を伝える、ということ。スカベンジャーはその職業特性上、どう分別すればお金になるか知っている。その分別の仕方を各家庭に伝えれば、ぐっとリサイクルがスムーズになる、気がする。パッカー車が入らない、あるいは混雑して身動きが取れなくても、小回りが利く。

これだけ、「働き者」がいるなら別の活かし方があると思う。今度会う自治体の人に聞いてみよう。


posted by 瀬戸義章 at 22:56 | Comment(0) | 1カ国目「フィリピン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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