2011年11月02日

東南アジア7ヶ国のゴミ処理まとめ

(1)シンガポール
ゴミのポイ捨てに罰則が課せられているためか、道に落ちているゴミは少ない。(とはいえ、まったく落ちていないわけではない。日本と同じくらいか)また、設置されているゴミ箱の数も非常に多い(23区ほどの面積に1万個以上)。集合住宅のほとんどにはダストシュートがもうけられており、住民にとってゴミ捨ての利便性は非常に高い。また、飲食店には専用の車輪つきゴミ箱を使うように定められている。以上より、収集までの段階においてはかなりきちんとした仕組みが構築されている。収集されたゴミは、無人島に運ばれ、そこで埋め立てられている。

(2)タイ
ゴミは道には少ないが、植え込みの陰にはたくさんある、と言った状況。見栄っ張りのタイ人らしいかもしれない。バンコクの中間処理場は車で30分ほど回るようなかなり大きな敷地をもつ。手作業での分別や、原始的な機械による乾燥などが行われていた。ピサヌルーク市の最終処分場は、オープンダンプだが、生ゴミが少ないのか、それほど悪臭はしなく、安定しているように見えた。埋め立て地から逆にプラスチックを掘り出し、燃料として使う取組を始めている。

(3)インドネシア
ときおり、川岸や木陰などに、ゴミがまとめて投棄されている。収集されたゴミは埋め立て地へ運ばれるが、生ゴミを処理するために「牛」が放し飼いにされており、餌として食べさせるというユニークな取組を行っている。

(4)フィリピン
民間業者により、曜日別収集が行われているが、不法投棄が非常におおい。地方ではあちこちでゴミの野焼きが行われている。マニラ市のゴミはいったん中間処理場(といっても、スカベンジャーが群がることで有価物を回収するような"中間処理"だが)を経て、別の島の埋め立て地へと運ばれていく。

(5)ベトナム
ポイ捨てはそれほど多くない。ハノイ市では建都千年祭もあり、街の美化に力を入れたとのこと。収集にはカートが使われている。夕方、女性収集員がカゴを押しながら、通りを歩き、時々止まってベルを鳴らす。すると人びとが集まってきて、カゴの中にゴミを入れる。そしていっぱいになったカートを道に並べ、収集車の中にまとめて放り込む、という仕組みだ。収集されたゴミは、そのまま埋め立て地へと運ばれる。


(6)カンボジア
行政は、まずゴミを道に捨てないように、そして生ゴミと無機ゴミを分けて捨てるようにと啓蒙に力を入れている。しかし、定着には時間がかかりそうである


(7)東ティモール
首都ディリでは、30台ほどのトラックが収集し、埋め立て地へと運んでいる。地方では空き地に投棄されている。



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2011年11月01日

『東京ゴミ袋』

東京ゴミ袋 (ちくま文庫) [文庫] / 瀬戸山 玄 (著); 筑摩書房 (刊)

フィリピンのゴミは、カラフルだ。拾い集めたその多くは、スナック菓子の袋や、洗剤の一回分パックだった。道でよくみかける鉄格子の張られたキオスクで、買い求めた物だろう。逆にカンボジアのゴミはモノクロだ。捨てられているものの大半は、透明な、砂にまみれたビニル袋。タイのゴミはストローだ。コンビニでペットボトルを買っても、屋台でジュースを買っても、必ずストローがついてくるのだから。東ティモールのゴミは、空き缶やペットボトル。他の国なら屑屋が見過ごさないものだが、そのままになっているのは、輸送費が合わないから。

ゴミは、情報である。

『東京ゴミ袋』は、東京の街にゴミという「補助線」をひいて、人びとの暮らしを浮かびあがらせたルポルタージュだ。出版されたのは、一九八八年。相撲部屋、横田米軍基地、ヤクザの事務所、来日した中国残留孤児の宿舎などから出されたゴミを回収し、中身を調べていく。

きっと糖尿病を煩っている「力士」が捨てた、インスリンの注射器。
日本の夏に悩まされたのか、「中国残留孤児」が捨てた、虫さされの薬"ムヒ"。
源氏名を考えるのに使ったであろう、「風俗嬢」が捨てた"え"と読む漢字をすべて書き出したメモ。
大組織に属する「ヤクザ」が捨てたのは、年賀状。その組織の構成員の名簿付きだ。三人の名前の脇には"一連の抗争にて服役中"と但し書きがある。
商法に長けた「宗教法人」が捨てたのは、信者の熱意を確かめるアンケート用紙。

ゴミの断片が、こんなにも生々しく二〇年前以上まえの暮らしを浮かびあがらせるとは。

"覗き趣味"な面もあり、がいまだったらプライバシーの問題でとてもできそうにない企画だけれど、いまだったらどんな暮らしが浮かんでくるのだろう。

そういえば、表参道を掃除したときに、壊れたiPhoneを拾った。



posted by 瀬戸義章 at 21:38 | Comment(0) | 準備編2 「日本のゴミ事情」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする