2011年09月15日

被災地ボランティアに行くということ

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5月11日から8月14日にかけて、仙台で復興支援に携わった。中心となった活動は、農地のボランティア。津波を被った屋内から家財道具を搬出する。ビニルハウス内から泥をかき出す。畑を掘ってガレキを取り除く。こうした活動をする。ボランティアを、のべ300人以上コーディネートした。もちろん、事前に自分で作業を体験してから。

被災農地ボランティア活動の特徴は一つ。

喜ばれる、ということ。


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とても喜ばれる、ということ。 「ほかのボランティアには内緒だよ」と野菜をどっさりもらったり、自家製の紫蘇巻きをご馳走になったり。いつの間にか宴会になったり。なんだか食べてばかりな気もするけれど、バスが出発する時には、目に涙を浮かべながら手を振って見送ってもらう。「ありがとう」をこれほど聞く機会はなかなかない。

「こんな自分が役に立つとは思っていませんでした」

こんな感想を多く聞いた。ボランティア参加者は社会人が多くて、社会人とは仕事をしてい人で、仕事というのは「誰かしらの役に立つ」ことだから、たいていの場合、人は人の役に立てると思うのだけれど。震災当初、邪魔になるから言っちゃいけません、という声が強かったから、その影響だろうか。阪神大震災に比べると、今回の震災のボランティア参加者数は三分の一。被災人口比でいうと、五分の一にすぎない。まだまだいくらでも役に立つことができる。

土いじりで運動ができて、お土産をいっぱいもらえて、温泉につかって、おいしいものをいっぱい食べて、観光もして。それでいて感謝される。これほど"贅沢"なツアーがあるだろうか。不謹慎? でも、大事なことは、その場所のその人を好きになること。肩肘張らずに行って、おしゃべりして、笑顔を交わせばいい。

いま被災地に行く"メリット"は、5年後、10年後の楽しみが一つ増やせることだ。

三ヵ月しかいなかったけれど、"復興"した町並みや公園や田畑を見ながら酌み交わす酒は、たぶん、最高の味になる。その自信がある。




【ボランティアツアー】※いずれもすぐ満員になるようです。
・近畿ツーリスト
一泊三日。南三陸町の「福興市」に参加。37,800円〜(うち5,000円は支援金として寄付)
http://ecc.knt.co.jp/tyoec/fukkoichi/

・green bird
0泊三日。仙台市で活動。5,000円。
http://www.greenbird.jp/news/index.php?sTEAM=SENDAI_SIEN

・旅プラスワン
一泊二日。気仙沼で活動&世界遺産平泉観光。29,800円〜
http://www.tabione.com/vt2011/

・トップツアー
沿岸各地のボランティア。11,500円〜
http://toptour.jp/sit/tohoku_volunteer/


2011年09月14日

「生きる」ための技術と智恵

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上の写真は、宮城県南三陸町の石浜避難所、下は宮城県石巻市の避難所、渡波小学校。いずれも、写っているのはソーラーランタン"d-light"です。日中、陽の光に当て充電することで、夜間ずっと点灯し続けることができます。トイレや廊下の照明などに活用されています。(9月7日時点で、渡波小学校にはいまだ94名の方が避難生活を余儀なくされており、「活用されていた」と過去形にできないことが残念です……)


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こちらは、宮城県岩沼市寺島で利用されている、持ち運びが簡易なソーラーパネル。携帯電話やゲーム機などの充電ができます。

これらのプロダクトはNPO「コペルニク」によってもたらされたものです。コペルニクでは、3月11日の震災を受けて、支援プロジェクトを直ちに実施。ソーラーランタンやソーラーパネルのほかに、太陽光で充電で切る補聴器などが数回にわたって運ばれました。

ちなみに、もともとは、電気・水道・ガスなどのライフラインが未整備である、貧困地域での生活水準向上のためのプロダクツです。


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これは東北を訪れるほんの三ヵ月前に見た、東ティモールでの光景です。先述のソーラーランタンやソーラーパネルをはじめ、「度数の調節ができるメガネ」や「ゴミを燃料にする調理用コンロ」「浄水機能付きストロー」など、"叡智に富んだローテク"とも言うべき製品ラインナップを見ることができました。コペルニクは、アメリカやイギリス・スペイン・オランダ・インドネシア・ブラジル・インドといった国々の企業・NGOからテクノロジーの提供を受けています。


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一方、建設コンサル事業を営む日本振興社が、南三陸町の避難所に提供したのは「水で電気を起こすランタン」でした。炭とアルミホイルが電極となっており、電解質がスポンジに含まれている。そこに水分を加えることで、電気が発生しLEDが灯る、という仕組みです。

そういえば、『MASTERキートン』ではリンゴの果汁でライトを作っていましたね。

ちなみに、災害時のサバイバルノウハウを集めたサイトがありました。
OLIVE 生きろ日本。被災地での生活で作れるデザイン/飲食料/アイデアのwiki。

途上国の「日常」を向上するためのテクノロジーやノウハウ。
先進国の「非日常」を向上するためのテクノロジーやノウハウ。
かなり近しいものがあると思いませんか?

30年以内に都心部でマグニチュード7.0以上の地震が起きる確率は70パーセントだと言われています。

いずれ「非日常」が起きるのだとしたら、世界市場を視野に入れて、研究開発のリソースを「ローテク」に振り分けても良いのでは? 自動車と携帯電話とパソコンと家電の新製品カタログを見ながら、そう感じました。


アイセック・ジャパン

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本日は、アイセック・ジャパン 東京大学委員会の部室オフィスにお邪魔して、東南アジアについての話をしました。最近インドネシアへの旅を終えて帰国した水野さんと原口さんがお相手です(後半ギャラリーが増えましたが)。

アイセックは学生による世界最大規模のNPOで、「国際的な視野に立ち、且つ自国の社会や人々の発展と成長に貢献しうる人財を世に送りだす事」を活動理念に、海外インターンシップを推進しています。フランスの学生が発起人で、現在、世界107ヶ国で活動しています。

彼らには、インドネシアのスクナン村を紹介していました。町全体でゴミのリサイクルを推進し、またそれを観光資源としても活かしているコミュニティがあります。この、少し変わったエコツーリズムは盛況のようで、アイセックが訪れる前日には、APECの団体も訪れていたとか。

なお、震災の影響によって、訪日する学生は特に減少していないそうです。

posted by 瀬戸義章 at 01:00 | Comment(0) | 7カ国目「インドネシア」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月08日

LIGHT UP NIPPON

復興支援活動をしていく中でお世話になった仙台の農業生産法人『舞台ファーム』さんのwebサイトにて、東日本大震災のコラムを10回に渡って書かせて戴きました。順次転載していきます。これは8月18日に書いた、最後の記事です。

原発事故に限らず、震災はまだ終わっていません。

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8月11日、三井アウトレットパーク仙台港で、”仙台港エリア復興イベント with LIGHT UP NIPPON”が行われた。かき氷やビール片手に、ショッピングや音楽ライブを楽しめるイベントだ。

ステージでは、かりゆし58、八代亜紀、トータス松本など、さまざまなアーティストによるライブが行われた。『アンマー』をしんみりと聴き、『ガッツだぜ!!』を会場中で熱唱した。サプライズゲストには、なでしこJAPANの丸山桂里奈選手が金メダルを携えて登場した。

舞台ファームが実行委員を務める、マルシェ・ジャポン センダイもこのイベントに出展した。津波被害をうけた場所から”発掘”された高級サバ缶「希望の缶詰」を売る「木の屋石巻水産」をはじめ、約30のテントが軒を連ねた。

日が暮れた空には、仙台育英多賀城校舎の東側から打ち上げられた花火が登場し、会場中が湧いた。
被災地の10地域(岩手県の宮古市・山田町・大槌町・釡石市・大船渡市三陸町、宮城県の気仙沼市・多賀城市、福島県の南相馬市・会津美里町・いわき市)で同時に花火大会が行われた。人びとは午後7時に、いっせいに空を見上げた。そして、見とれた。

残念なことに、花火を灯すことができなかった地域もある。岩手県の陸前高田市や宮城県の石巻市では、道路状態の悪さや空き地の確保の困難などが原因で、開催が中止となった。

石巻市は、東北地方の中で、もっとも避難者数の多い街だ。8月17日現在で、2,395人が避難所生活を強いられている。舞台ファームは、週に3回、この石巻市にパックサラダを届けている。1万食分の新鮮なサラダ。スイカにメロン。

それはつまり、新鮮な野菜や果物を満足に手に入れることができない人がいて、花火を打ち上げることもできない場所がある、ということだ。5ヵ月経って、まだ。

東北だけで、立ち上がり続けることは難しい。人口を比較してみよう。宮城県・福島県・青森県・岩手県・山形県・秋田県の総人口は9,335,088人(2010年国勢調査 速報値より)だ。一方、神奈川県の人口は、9,049,500人。日本の5分の1の広さがあっても、もとからの人手はこの程度なのだ。
そして、ボランティアに訪れる人の数は、阪神大震災の三分の一から、五分の一とされている。
お盆も明けて、さらに減少するだろう。

新しいつながりは、新たなチカラを生む原動力となる。前述の花火イベント”LIGHT UP NIPPON”の発起人は、横浜市出身で、東京で働く高田佳岳氏だ。
「3月29日に、日本橋の方から東京湾大華火祭が中止になるということを聞いたんです。
その瞬間、そこで打ち上げる予定だった花火を東北に持っていけば、被災地で花火大会ができるんではないかと思いついたんです」(『Walkerplus』)

舞台ファームがのカットサラダも、東京のボランティアに協力して戴いて、石巻の避難所に贈ることができている。NPO法人”green bird”が主催するボランティアツアーだ。有り難いことに、すでに9月分まで予約が満員となっている。

我々はこれまでに、佐賀県の若手議員、ボストン大学の修士、中古建築資材販売や塗料メーカーの経営者、国際NPOの代表まで、ふつうの農業生産法人なら出会わないであろう方々と縁を持ってきた。そうして得たチカラを、今後の復興の原動力としていくつもりだ。

greenbirdのボランティアツアーは、半年間継続して行われるそうだ。ぜひ、あなたも参加して欲しい。あなたは、東北を、日本を、”より輝かせる”ことができるのだから。




2011年09月06日

畑が畑であるために

復興支援活動をしていく中でお世話になった仙台の農業生産法人『舞台ファーム』さんのwebサイトにて、東日本大震災のコラムを10回に渡って書かせて戴きました。順次転載していきます。これは8月4日に書いた、第9回目の記事です。

農家のおじいさんのスコップ捌きは半端なかったなあ。軽々と雑草が取り除かれて、かつ、掘った地面が綺麗な平らになっていきました。

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スプーン。ライター。カミソリ。ボールペン。接着剤。電池。メガネ。雑巾。ストップウォッチ。植木鉢。すべて畑の中から掘り出したモノだ。付け加えるなら、コンクリートの破片が多数。

仙台市では、7月から農地にバックホーなどの重機を入れて、ガレキや松の木の撤去を行っている。
重機で災害廃棄物を取り除けば、畑が再生するかと言えば、そうでは無い。キャタピラによって、土が硬く、踏み固められてしまっている。残骸が土中に埋まっている。さらに、境界線が分からないほど、雑草が伸び放題だ。造園施設など、もともと肥沃にしていた土地の場合、高さ二メートルを超えるような雑草が並んでいる。

当然だが、農作物の栽培において「土」はきわめて重要な存在である。おおまかに分けて、「土」は四つの機能を持つ。

(1)作物を支える。
植物は土の中に、縦横無尽に根を張ることによって、強風などでも倒れないように自身を支えている。

(2)生育に必要な養分や水を蓄える。
植物の成長には、窒素・リン酸・カリウムをはじめとする各種の養分と、水が必要だ。一度にたくさんあればいい、というものではなく、植物は、必要の度合いに応じてそれらを吸収している。

(3)根を保護する。
栄養素を吸収する根は、繊細な存在だ。土中は大気中に比べ、安定した環境であり、急激な温度変化やpHの変化、化学物質の暴露から根を守っている

(4)土壌生物の住処となる。
多種多様な土壌生物が成育することで、通気性・排水性・保水性をもたらす団粒構造が生まれる。

美味しい野菜を効率的に末永く収穫するために、幾度と無く手を加えてできたのが畑だ。
化学的にも、物理的にも、生物学的にも適切な状態を保たねばならない。

表面のガレキとヘドロを取り除いただけでは、畑の再生には届かない、と言うことがお分かり頂けただろうか。そもそも、コンクリの破片が埋まっていては、耕耘機すら入れることができない。刃が欠けてしまうのだから。

つまり、人の手で、スコップで掘り返して細かい残骸を取り除く必要がある。たとえば、雑草が生い茂った被災農地を二人で作業したところ、八時間で60坪ほどを終えた。ちなみに、農林水産省の報告によれば、仙台市だけで被災した農地は約2,700ヘクタール。8,167,500坪である。

こうした作業は日々行われ、少しずつ、少しずつであるが畑は再生している。「プランターで育てたキャベツと、ガレキを除いた畑で育てたキャベツが同じ成長だった」という嬉しい声も聞いた。

しかし、放射能の問題は言うまでもなく、津波によって工場から流失した汚染物質の影響もまた懸念されている。成長したから、「良し」にはならない。

ただ少なくとも言えることは、ひとつ。

次の収穫は、きっと格別のものになるだろう。


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