2011年09月25日

被災地で感じた「日常」

仙台市若林区の三本塚で、農家の遠藤さんとこんな会話をした。

「いやあ、若い人と話すと、みんな元気になるね」

――それなら、週一で若い女の子をボランティアで連れてきて、話をする機会をつくれば、盛りあがるんじゃないですか?

「うん、一ヵ月は保つよ」

人生の大半は、長い長い「日常」だけれど、それに弾みをつけることができるし、磨き高めることができる。


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"TEAM NIPPON"による著名なスポーツ選手の被災地慰問を手伝ったとき、仙台市の避難所であるサンピア仙台で、元陸上選手の高橋尚子さんが言っていたことを思いだした。大事な試合に対して、どう向き合ったのか、という質問に対して。

「オリンピックだからどうこうじゃなくて、『いつもどおり』を心がけました。金メダルを取った翌日も、ふつうに練習に行って、だれもいなくて、あれ? と思ったくらいです(笑)」

なるほど、彼女は「世界一の日常」を創りあげたのだと感じた。

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「それで、アンタはどんな日常をつくるんだ?」

――ま、まずは毎日ブログを更新するところから……


2011年09月24日

体験する、ということ。

「東南アジア」という言葉を聞いて、どんな情景を想像しますか?

「高層ビルの間をスカイトレインが走り、ネオンが煌めくデパート前の大通りでは、賑やかなショーが行われている。人びとは面白そうに見物しながら、ブラックベリーでなにごとかメールしている。」
「野豚が泥浴びをしている未舗装の赤茶けた道の脇に、バナナの木でつくられた柵がある。そこをくぐって、裸足で水をくみにいく少年少女がいる。」

どちらも自分が訪れた「東南アジア」のすがたです。あまり先入観を持たずに行ったつもりですが、後者の風景よりも、前者の風景に驚いた自分がいました。

もちろん、別にその場に行かずとも日本で手に入る情報だけで、前者をイメージすることはできます。でも、どれくらいの人がイメージできているでしょうか。被災地で、水が出なかった間のことを「東南アジアのようでした」ともらした声を聞きました。

"体験"をしないと、身体がまじめに情報を組み立てようとしないのかな、と思います。

復興支援を名目にした花火大会で、福島で制作した花火の使用を中止したというニュースがありました。


このニュースは、たった20回電話をかけさえすれば、行政の行事の内容に干渉ができるということを教えてくれました。

…………じゃなくて、

放射性物質が怖いという感情と、復興支援をしたいという感情に折り合いがつけられたんじゃないかな、と思います。市長が福島に謝罪訪問をしたそうですが、交通費と市長の人件費で、放射線量を詳細に測定できるシンチレーションサーベイメーターが買えちゃいますね。

被災地について語るときに、ほんの少しでも"体験"することが大事だ思います。昨日、知人から「ボランティアに興味はあるけど、どこに行ったらいいか、なにができるか分からない」と言われました。

なので、ふらっと行けるところを紹介します。極端な話、当日の朝、受け付けに行けばOKです。動きやすい服装とか軍手とか長靴も、現地で調達できるといえばできますしね。
(もちろん、事前に行く旨伝えて、準備した方がいいですが)


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震災復興・地域支援サークル ReRoots
宮城県仙台市若林区荒井字遠藤43-1

津波復興支援センター
宮城県仙台市宮城野区岡田字南在家110-6
※仙台市以外に行きたい場合でも、ここで紹介してもらえます。

自由大学 キャンプin仙台
※東京発のスタディツアーです。




2011年09月23日

『Think the Earthプロジェクト』の地球ニュースに記事が掲載されました!

"Think the Earthプロジェクト"の地球ニュースに『津波被害の仙台でヘドロを防波堤にリサイクル』というタイトルで記事を掲載してもらいました。「ボンテラン工法」といって、古紙を使ってヘドロを土壌改良する技術について触れています。ぜひご覧ください。

Think the Earthプロジェクトは「エコロジーとエコノミーの共存」をテーマに2001年に発足したNPOです。

「1秒間に
 人は93mlの空気を呼吸し…
 心臓が1回脈を打ち、60mlの血液を体に送り出し…
 世界に420万トンの雨が降っています。」

"1秒"という単位で世界のうつろいを伝える『1秒の世界』の編集も、同プロジェクトが携わっていました。

さまざまなNPO・NGOの支援も行っており、ベトナムで出会ったNGO「ブリッジエーシアジャパン」や、東北の復興支援のなかで、物資の供給に協力した団体「石巻災害復興支援協議会」などに対して、Think the Earthプロジェクトも支援を行っていたそうです。

今後は「地球レポーター」として、あちこちを駆け回って知り得た事を発信していきます。


2011年09月22日

"まち"のリサイクル

東北沿岸、住民票ベースで人口5万人減 復興急務
「東日本大震災で津波被害の大きかった岩手、宮城、福島3県の沿岸部にある市町村で、震災後に人口が計4万9886人減少したことが分かった。(2011.9.19 MSN産経ニュース)」

webサイト「社会実情データ図録」によると、岩手県大槌町・陸前高田市、宮城県南三陸町・女川町・山元町、福島県富岡町などの人口減少率が、半年間で6〜12%と、極めて高い値になっている。

南三陸町 ホテル観洋の阿部憲子女将は「人がいなくなってしまうことがいちばん恐ろしい」と言う。一つの企業がどれだけ努力しても、人口が流失し続ければ、立ちゆくことはできない。町に活気を取り戻そうと、4月23日、まだ水道も復旧していない段階で、レストランを再開した。入社2年目のスタッフが大きく『営業中』と書いた看板で呼び込みをした。また、ホテルのなかでは東北大学のボランティアが小・中学生を対象に勉強を教える「寺子屋」を開いている。

「"支援"じゃないだろう、と。いっしょに新しい社会を作らせてくださいと言う気持ちです。」
7月11日に開設した、アミタグループ東北オフィスの佐藤さんに、なぜ名刺の肩書きが「特命係」なのかと尋ねたら、こうした答えだった。(ちなみに、『相棒』は知らないとのこと。)

アミタはもともと産業廃棄物、亜鉛の再資源化からスタートした会社だ。そしていま、南三陸町歌津の「再生」を手がけようとしている。1次産業・2次産業・3次産業を横断的につなげて、その町でしかうみだせないブランドを創る。そんな新しい未来を作っていこうとしている。

アミタのリサイクルの視点は、30年の間に、いわゆる「資源」にとどまらず、エネルギーの再生から、森林・里山・里海の再生までを手がけるようになった。一つの例が「森林ノ牧場」。栃木県の那須でアミタが運営している牧場だ。ここでは、牛が森を育て、森が牛を育てている。その牛乳、なんと1本600円。手入れをされず放置されたままの森林と、飼料を自給できない酪農。その二つを結びつけることで、持続可能な森林管理と酪農を両立させる新しいモデルである。森林のなかに牛たちを放牧し、木の葉や草を食べさせることで、森の開拓をする。一方、森で育った牛の乳製品で、人は経済を成り立たせる。こういった仕組みだ。

そう聞いて、「文化のリサイクル」という言葉を思いだした。ベトナム中部に位置する古都、フエを訪れた時のことだ。

「フエは竜宮城なんです」

ミャンマーとベトナムで活動する国際協力NGO"Bridge Asia Japan"のベトナム連絡員 フィンさんは、呆れるほどに濃いベトナムコーヒーをすすりながら、そう言っていた。

昔話の『浦島太郎』が訪れた竜宮城は、ベトナムのフエだったという説があるそうだ。かつてはそれだけの栄華を誇っていたフエには、すばらしい伝統がいくつもある、料理一つとってみてもそうだ。ブンボーフエ(豚骨スープの麺料理)は言うにおよばず、バインコアイ(米粉のお好み焼き)やバインベオ(小皿蒸し餅)に、コムアンフー(五目混ぜご飯)。「お米」をどれだけ活かしきっていることだろう。でも、いまは伝統料理や伝統野菜が廃れてきてしまっている。だからtwitterなどのwebサービスを利用して、伝統野菜の生産者と街の消費者をつなぎ、調理法も伝えて「文化のリサイクル」をしていきたい、と。

民話や歴史といった文化も、野菜や牛や山やといった自然も、そして人も、すべて「資源」。そう捉え直すことこそが、ほんとうの"リサイクル"なのかもしれない。


2011年09月21日

宮城県はガレキをどう処理するか

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8月4日に、宮城県のwebサイトに掲載された『宮城県災害廃棄物処理実行計画』を簡単にまとめてみます。

そもそも、東日本大震災によって膨大な災害廃棄物が発生した主な原因は、津波でした。宮城県だけで、津波被害を受けた海岸線の長さは約828km、浸水面積は327平方キロメートルにおよびます。ちなみに、これはパリの面積の3倍以上です。

津波によって生じた災害廃棄物には様々な種類があります。木くずにコンクリート、アスファルトくず、鉄くずに廃プラスチック、廃家電に粗大ゴミ、ガラスや陶器、瓦、ヘドロ、そして車両や船舶、廃タイヤ。また、薬品、ガスボンベ、消化器といった危険物や、PCBをふくんだトランス、アスベストを含んだ石膏ボードといった発がん性物質まで流されて堆積しており、すばやく安全に処理しなければなりません。

こうした災害廃棄物は「一般廃棄物」として扱われます。おもに家庭ゴミとしての扱いで、市町村単位で処理しなければなりません。しかし、宮城県で発生した災害廃棄物の総量は1,820万トン(可燃物450万トン、不燃物1,370万トン)。年間の一般廃棄物処理量は80万トンでしたから、およそ23年分です。処理しきれない分は、宮城県が代わりに業務を請け負います。


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宮城県は4つのブロックに分けて処理を行います。北から気仙沼ブロック(気仙沼市、南三陸町)、石巻ブロック(石巻市、東松島市、女川町)、宮城東部ブロック(塩竃市、多賀城市、七ヶ浜町、松島町)、亘理・名取ブロック(名取市、岩沼市、亘理町、山元町)となります。仙台市や利府町は県に委託せず、自分たちで処理を行います。

各ブロックの概要はこのようになります。

●気仙沼ブロック
・災害廃棄物:298万トン
・津波堆積物(ヘドロ):110万立方メートル
・ほか地域に比べ、被災した船舶の数が多い。

●石巻ブロック
・災害廃棄物:746万トン
・津波堆積物(ヘドロ):380万立方メートル
・もっとも被害が大きく、災害廃棄物の量が多い。
・港湾の工場地帯が被災したため、事業所からの発生が多い。

●宮城東部ブロック
・災害廃棄物:170万トン
・津波堆積物(ヘドロ):170万立方メートル
・市街化が進んだエリアのため、住居からの発生が多い。

●亘理・名取ブロック
・災害廃棄物:300万トン
・津波堆積物(ヘドロ)575万立方メートル
・広大な農地が被害を受けたため、ヘドロの堆積が多い。

災害廃棄物はいま、各市町内数ヶ所につくられた「一次仮置き場」に集められています。ここで、粗く分別をして、リサイクルできるものは回収し、残りはさらに大きな「二次仮置き場」へ運んでリサイクル・焼却・埋立が行われます。一次仮置き場での処理は各自治体が、二次仮置き場の処理は宮城県が行います。

宮城県は、この四つのブロックごとに、民間企業から処理方法の企画提案を受け付ける「プロポーザル方式」をとりました。まず決まったのは石巻ブロック。9月16日に、大手ゼネコンの鹿島建設を中心とした共同企業体(複数の企業が協力して工事をするための組織)が受注しました。この費用は1923億円です。

ちなみに、地元企業を優先すべきだ、談合だと言われていますが、近くに住む人にとっては「いいから早く片づけてくれ」というのが本音でしょう。廃棄物撤去が遅れた理由としては、大手ゼネコンでなく地元企業を優先しすぎた、事業費の負担を県や国が明確にしなかった、といった点が指摘されています。個人的には、多額の費用で処理を行う以上、世界にプレゼンできるような結果を期待しています。

全体の流れは、ガレキの撤去 → 一次仮置き場での分別 → 二次仮置き場での分別 → リサイクル・焼却・埋立となります。これを3年で完了させることが目標です。宮城県のガレキ撤去率は、9月15日時点で51%です。


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リサイクルについては、こんな用途が検討されています。
・ガレキやヘドロ:公共工事の埋め戻し材、盛り土
・木くず:燃料、堆肥、敷き藁、製紙原料、パーティクルボード原料
・廃タイヤ:セメント原燃料
・金属くず:金属製品原料
・廃プラスチック:プラスチック原料、RPF原料


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焼却に関しては、二次仮置き場に仮設焼却炉が建造される予定です。県内の施設だけでは処理能力を超えているからです。各ブロックの焼却施設を365日フル稼働したとしても、余剰処理能力は1年間に50万トンにしかなりません。可燃廃棄物450万トンをすべて焼却するとしたら、9年かかってしまいます。上の写真は、仙台市若林区蒲生に建設中の仮設焼却炉です。

埋立もまた、県内では処理しきれず、他県に応援を求めています。しかし、放射性物質への懸念から、受入を表明しているのが山形県のみで、現在も交渉中とのことです。

ちなみに山形県は、震災当初の医療廃棄物や、石巻・気仙沼の水産廃棄物の受入など、今回の災害廃棄物処理においては、積極的に協力しています。

計画の一次案では、放射性物質のモニタリングは、「仮置き場撤去後に、土壌を対象とした調査を行う」ようですが、放射性物質への注目度を考えると、見直しが迫られそうな項目ですね。


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