『東日本大震災で、石巻地方2市1町の可燃ごみを処理する石巻広域クリーンセンター=石巻市重吉町=が被害を受け、現在作業を停止している。そのため家庭、避難所から次々と出されるごみは、野積みされ悪臭などが問題となっている。そんな中で、女川町クリーンセンターに設置された燃油を使わずに可燃ごみを処理する装置が注目を集めている。
この装置は埼玉県熊谷市の潟Gコクリーン栄光グループ(吉田壽永男オーナー)が東京工業大学と共同研究を進めている一般廃棄物処理機「ダストリユース」。女川町のごみ収集業務にあたる企業組合「ビホロ」(梶原三雄理事長)は、加盟する日本労働者協同組合連合会に被災後増え続けるごみの解決策を要請。これを受けて、同じく加盟社であるエコクリーン栄光が装置の無償貸与を申し出た。
ダストリユースは、電気、燃料を必要としない不燃濃縮磁気分解装置。投入された有機廃棄物は、内部のセラミックの蓄熱作用と特殊磁気(ネオジウム磁石)の作用を取り込み、自ら熱分解する。ガラスや金属、石以外すべて処理可能で、投入量の300分の1まで分解されたごみはセラミック灰や土壌改良剤、消毒剤として活用できる。また、燃やさないのでダイオキシンなどの有害物も出さない。(05月20日 石巻日日新聞)』
●ガレキの堆肥化
『宮城県石巻市は被災した家屋の建材や流木をチップに破砕し、市営牧場内に敷設する対策を進めている。がれき処理のスピードアップと放牧地の土壌改良の一石二鳥を狙った取り組み。関係者はリサイクルの成果に期待している。
チップの敷設は5月中旬、同市三輪田の市営上品山牧場(約72ヘクタール)のうち、牧草が生えない荒廃地約6ヘクタールで始まった。市内のがれき収集現場で分別後、破砕処理したチップを運び入れ、重機で土と交ぜる。微生物の働きで分解、堆肥化させる。(06月07日 河北新報)』
●流木でチェーンソーアート
『 津波による流木などが残る仙台市宮城野区の南蒲生地区で12日、チェーンソーアートの実演会が開かれた。達人たちの手で動物の姿に変わった木は、「復興のシンボルに」と被災者に贈られた。
NPO法人「いちはら自然楽校」(千葉県市原市)が主催。世界大会で3連覇したことがある代表理事の栗田宏武さん(57)ら11人が全国から集まった。
民家の空き地に集まった参加者は、大小2種類のチェーンソーを使い分け、流木や津波に漬かった立木など、直径約40センチの丸木を約1時間で彫刻。鳥やクマの形が削り出されると、観客から歓声が上がった。(06月14日 河北新報)』
●ヘドロを盛り土に利用
『東北大や森環境技術研究所(新庄市)、ボンテラン工法研究会(同)などが、東日本大震災の津波で運ばれたヘドロを再資源化する「ボンテラン工法」を提案している。ヘドロに含まれる塩分や発生する悪臭をほぼ封じ込められる上、液状化にも強いため、盛り土などに活用することが可能だという。
ボンテラン工法は東北大大学院環境科学研究科の高橋弘教授(環境リサイクル)と森環境技術研究所などが開発。ヘドロなど水を多く含む土に古紙などを混ぜることによって、内部に繊維質ができて土に絡まるため、強度の大きい土を作ることができる。コストは通常の工法とほぼ同じか1〜2割高い程度。(06月20日 河北新報)』