2011年06月24日

災害廃棄物リサイクルのニュースまとめ

●電気も燃料も使わないゴミ処理装置
『東日本大震災で、石巻地方2市1町の可燃ごみを処理する石巻広域クリーンセンター=石巻市重吉町=が被害を受け、現在作業を停止している。そのため家庭、避難所から次々と出されるごみは、野積みされ悪臭などが問題となっている。そんな中で、女川町クリーンセンターに設置された燃油を使わずに可燃ごみを処理する装置が注目を集めている。

 この装置は埼玉県熊谷市の潟Gコクリーン栄光グループ(吉田壽永男オーナー)が東京工業大学と共同研究を進めている一般廃棄物処理機「ダストリユース」。女川町のごみ収集業務にあたる企業組合「ビホロ」(梶原三雄理事長)は、加盟する日本労働者協同組合連合会に被災後増え続けるごみの解決策を要請。これを受けて、同じく加盟社であるエコクリーン栄光が装置の無償貸与を申し出た。

 ダストリユースは、電気、燃料を必要としない不燃濃縮磁気分解装置。投入された有機廃棄物は、内部のセラミックの蓄熱作用と特殊磁気(ネオジウム磁石)の作用を取り込み、自ら熱分解する。ガラスや金属、石以外すべて処理可能で、投入量の300分の1まで分解されたごみはセラミック灰や土壌改良剤、消毒剤として活用できる。また、燃やさないのでダイオキシンなどの有害物も出さない。(05月20日 石巻日日新聞)』


●ガレキの堆肥化
『宮城県石巻市は被災した家屋の建材や流木をチップに破砕し、市営牧場内に敷設する対策を進めている。がれき処理のスピードアップと放牧地の土壌改良の一石二鳥を狙った取り組み。関係者はリサイクルの成果に期待している。
 チップの敷設は5月中旬、同市三輪田の市営上品山牧場(約72ヘクタール)のうち、牧草が生えない荒廃地約6ヘクタールで始まった。市内のがれき収集現場で分別後、破砕処理したチップを運び入れ、重機で土と交ぜる。微生物の働きで分解、堆肥化させる。(06月07日 河北新報)』


●流木でチェーンソーアート
『 津波による流木などが残る仙台市宮城野区の南蒲生地区で12日、チェーンソーアートの実演会が開かれた。達人たちの手で動物の姿に変わった木は、「復興のシンボルに」と被災者に贈られた。
 NPO法人「いちはら自然楽校」(千葉県市原市)が主催。世界大会で3連覇したことがある代表理事の栗田宏武さん(57)ら11人が全国から集まった。
 民家の空き地に集まった参加者は、大小2種類のチェーンソーを使い分け、流木や津波に漬かった立木など、直径約40センチの丸木を約1時間で彫刻。鳥やクマの形が削り出されると、観客から歓声が上がった。(06月14日 河北新報)』


●ヘドロを盛り土に利用
『東北大や森環境技術研究所(新庄市)、ボンテラン工法研究会(同)などが、東日本大震災の津波で運ばれたヘドロを再資源化する「ボンテラン工法」を提案している。ヘドロに含まれる塩分や発生する悪臭をほぼ封じ込められる上、液状化にも強いため、盛り土などに活用することが可能だという。
 ボンテラン工法は東北大大学院環境科学研究科の高橋弘教授(環境リサイクル)と森環境技術研究所などが開発。ヘドロなど水を多く含む土に古紙などを混ぜることによって、内部に繊維質ができて土に絡まるため、強度の大きい土を作ることができる。コストは通常の工法とほぼ同じか1〜2割高い程度。(06月20日 河北新報)』


2011年06月23日

『災害廃棄物』のいま

廃棄物資源循環学会が6月22日に開催した『東日本大震災の災害廃棄物に関する現地セミナー』に参加しました。その概要をまとめます。

1.災害廃棄物に関する環境省の対応
・すばやく廃棄物処理をするため、各法令の規制緩和を行った。
・家屋、自動車、船舶、その他動産の撤去には財産権との兼ね合いがあるが、損傷の激しいもの、流失したものについては"無価物"して扱うと判断した。
・見た目でまだ動きそうな自動車は、いったん仮置き場に集めて所有者の確認をとる。基本は遺失物法での扱いになる。
・家電リサイクル法対象品目についても、他の廃棄物と一括処理してもやむを得ないとした。
・災害廃棄物処理のマスタープランを示した。2011年の8月末までに、「生活環境に支障が生じる廃棄物(避難施設や居住地近隣の廃棄物)」を仮置き場に移す。
・2013年度までに木くず、コンクリートくずを除く災害廃棄物の中間処理を終わらせる。
・単なる「ガレキ処理」ではなく、資源を徹底的に利用することで、「最先端の循環ビジネス拠点」として東北を再生していきたい。

2.災害廃棄物対策・復興タスクチームの活動
・廃棄物資源循環学会がチームを立ち上げ、被災地への情報支援、調査を行う。
・『災害廃棄物分別・処理マニュアル』を作成した。

3.災害廃棄物処理の進捗状況
・岩手県、宮城県、福島県の3県で発生した災害廃棄物の総量は2,500万トン。うち4分の1は仮置き場に移した。
・岩手県:442万トン中182万トンを、213haの仮置き場に移した。
・宮城県:1,600万トン中390万トンを、529haの仮置き場に移した。
・福島県:230万トン中50万トンを、100haの仮置き場に移した。

4.岩手県の現状
・岩手は平地が少ないため、仮置き場の選定に苦労している。空き地は仮設住宅→自動車集積所→災害廃棄物仮置き場の優先度で選ばれる。
・現在の廃棄物の内訳は、木くず26%、コンクリ18%、金属4%、混合物39%。
・相当量の漁網、養殖資材が海中にあると思われる。
・太平洋セメントで、廃棄物をつかったセメントの生成を実施する。11月から、1,000トン/日の処理見込み。
・木材の塩濃度は、径が10〜15cmの場合0.04%。径が3〜4cmの場合0.11%。ギリギリ焼却できる範囲。

5.仙台市の現状
・仙台市の災害廃棄物は、ガレキ103万トン、ヘドロ130万トン、自動車約1万台。
・ガレキの6割はコンクリートくず。2割が木くず。残りは金属、瓦、石膏ボード等。
・海岸沿いの3ヵ所に仮置き場を設けた。破砕機や焼却炉を設置し、中間処理場にする予定。
・未登録業者の搬入もあるので、仮置き場の設置場所の公表は避けている。
・阪神大震災の災害廃棄物と同様のリサイクル率50%を目指すが、今回は津波によって塩分を含んだ廃棄物が多いのが特徴であり、塩分除去が課題。

6.石巻市の現状
・石巻市は人口16万人の都市。
・宮城県で発生した災害廃棄物の3分の1が石巻。616万トン。年間のゴミ処理量は5万8千トンだったので、およそ106年分。
・廃棄物のうち、約300万トンが損害・流失家屋、約200万トンがヘドロ。残りは廃自動車、廃船舶、廃家電、水産品、倒木など。
・陸地にある被災自動車は約2万台だが、海中にも同様の数あると考えられる。
・被災船舶は約2,400隻。そのほとんどは解体処分する。
・冷凍水産物は4万5千トン。その半分は70km沖合に海洋投棄、もう半分は山形県に埋め立てている。
・6月4日現在で、災害廃棄物の回収量は約10%。


7.仙台市仮置き場の視察


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一日に約1,500台のトラックが訪れる。この仮置き場の広さは40ha。120万立米の用地。現在は20万立米ほど溜まっている。


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90トン/日の仮設焼却炉を建設予定。「可燃」カテゴリのものをまずふるいにかけ、金属屑を取り除いた後に燃やす。塩分により炉が損なわれるかもしれないが、2,3年保てばいい。


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畳は別にして分けている。


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家電類は地面にシートを敷いて金属汚染されないようにしている。


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金属くず。