2011年03月03日

ペットボトルが拾い放題。拾ってみた 〜東ティモール編〜

東ティモール、オエクシ県。ここでは本当にリサイクルが行われていないのか、ゴミを拾ってみました。


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ホテルの玄関前にて。これから拾います! 背景は合成じゃありませんよ。


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最果てだからといって、ゴミが落ちていないわけではありません。


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むしろ、そこかしこに溜まっています。


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さて、あっという間に溜まった袋の内訳を見ると、半分がペットボトルを占めています。けっこう年季ものもありますね。「空き缶」を拾ったのは、この国が初めてでした。あとは段ボールと容器包装プラスチックです。

例えばタイでなら、ペットボトルは1kg30円前後で引き取ってもらえます。飲み終えたペットボトルをスカベンジャーに渡して、お礼を言われたこともありました。そのペットボトルがなぜこんなにも、「最貧困」の地域に落ちているのでしょうか? 考えられるのは、輸送コスト。


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ここオエクシと、首都ディリとの行き来は、わずかに小さなフェリーが週二回運行しているのみ。訪れたときはそのフェリーも故障していました。(写真はインドネシアより借りた代替船)。このか細い輸送手段では、運ぶコストがかさみ、リサイクルが成り立たないようです。

リサイクルが成り立たないなら、ペットボトルをペットボトルとして、何か生かせれば良さそうです。飲んだ後は浄水器になるとか、連結して水道管になるとか、ペットボトルの形はそのままに、追加の機構を持たせて、あとはDIYできると面白そうですね。



posted by 瀬戸義章 at 00:43 | Comment(0) | 6カ国目「東ティモール」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月02日

橋の大切さを知る方法。東ティモール泥流渡河記

「靴をはいちゃダメだ。絶対ダメだ。」
そう何度も注意されました。なぜか。河底には泥が堆積している場所があり、そこに靴のまま踏み込むと、足をとられ、引きずり込まれるからです。そう言われて、履いていたサンダルを両方とも、腰に挟み込みました。


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時刻は夕方の6時から7時にかけて。日はまさに暮れようとしています。もうすぐ真っ暗になることでしょう。これから、この河を、歩いて渡ります。

NGOおよびTV取材班の方々と一緒に、東ティモール、オエクシ県のスネ・ウフェ村を訪問した帰りのことでした。行きはほとんど干上がっていた河が、夕立により、あっという間に増水。そしてここには、車で行き来できるような橋がありません。



こうやって渡るのみです。

簡単そうに渡っているこの地元の人々に、相談しました。あわせて約15名のスタッフに対して、一人ないし二人が脇につき、流されないように、そして迷わないように助けてもらいます。撮影機材なども、代わりに運んでもらいます。……弥次さん喜多さんが安倍川を渡ったときのように、おんぶしてもらえるわけではなさそうです。

あくまでも、自分の足で進まなければなりません。パートナーが、河に入る前に、ぐっと右手首を握りなおしてくれます。あとは、慎重に力強く進むだけです。

力強く進むだけなのですが、川底には尖った石、あるいは木の枝が山積しており、ふだん裸足で歩くことの無い皮膚を傷つけます。かといって、踏ん張らなければ、腰の辺りまで沈む急流に飲み込まれてしまいます。そこで、すこし流されつつ、(引き止めてもらいつつ)斜めに渡っていきました。

しかし、渡りきった! と思っても、また目の前に河が現れます。

すっかり日は落ち、あたりは真っ暗。明かりは数人が持つLEDライトのみ。両岸から照らしてくれていたはずの、車のヘッドライトも届かなくなりました。水面の様子もはっきりしません。いきなり深くなり、誰にも気づかれないまま流される可能性だってあります。

進むためには、一歩、一歩に集中。集中。ひとつの河を渡り終えたら、振り返って皆を待ちます。
「がんばれ! あと少し!」声をかけながら。

こうしてなんとか渡った河は、合計で6つ。あとで計算してみたところ、全て渡り切るのに1時間かかっていました。


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無事に渡りきったときの全員の喜びようといったら。ホントに助けになりました。ありがとう!

後で聞いた話ですが、2004年に韓国軍の兵士4名が、この河で溺れたそうです。知っていたら、渡るという判断は下さなかったでしょうね。前回記事で触れた、インフラの未整備による影響は、こうして、身をもって体験することができました。


posted by 瀬戸義章 at 01:28 | Comment(0) | 6カ国目「東ティモール」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月01日

リサイクルが届かない場所 東ティモールOecusse県

「最貧困」という言葉があります。「1日1ドル以下」の暮らしをさす言葉です。2001年の調査では、東ティモールの人口の40%が、最貧困だったそうです。

なぜここは貧しいのでしょう? その理由はいくつもあるでしょうが、確かな一つは「行くのがとっても大変」だからです。


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これは、Oecusse県都のPante MacassarからSuniufe地方の村に行く途中です。川には橋が無く、車で渡れず、こうして荷物を担いでいくしかありません。

収穫の量を増やそうにも、製品をつくろうにも、商品を販売しようにも、経済活動をしたくても、人やモノの行き来が容易でなければ、それもままなりません。


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これまで訪れた東南アジア各国の街には、スカベンジャーと呼ばれる、ゴミを拾って生計を立てる人々がいました。しかし、東ティモールには、ペットボトルや空き缶など、他の国の貧しい人が見れば飛びつくような、ゴミがたくさん落ちています。買い取ってくれるところまで、運ぶことができないからです。運ぶ手間がかかりすぎて、コストが見合わないからです。

ここには、「コストゼロの仕入れ販売」である、「リサイクル」すら届いていません。

ところで、「行くのがとっても大変」を実感したのは、Suniufeからの帰り道です。2月の東ティモールは雨季。夕方には雨が降ります。

帰り道はどうなったでしょうか? 答えは次回。

posted by 瀬戸義章 at 00:26 | Comment(0) | 6カ国目「東ティモール」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする