2011年02月27日

「軍隊」がリサイクルショップを経営? シンガポールの"Salvation Army"

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シンガポールの人々は、いらなくなった衣服や、家電・家具を「軍隊」に寄付しています。その「軍隊」は、受け取った不用品を、彼らの運営するリサイクルショップで販売しています。


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軍隊の名は「救世軍(Salvation Army)」。1865年に創設された、イギリス発祥のキリスト教団体です。「大将」や「少佐」「軍曹」といった、軍隊と同じ階級がある組織ですが、武器を持って戦うわけではありません。児童養護、介護、在宅サービス等の社会福祉事業を行っています。世の貧困と戦う軍隊、とでも言うべきでしょうか。世界121の国と地域に展開しており、2010年度の予算は$15.6m(約13億円)と、かなり大きな組織です。

シンガポールでの活動は、1935年から。リサイクルショップも活動のひとつで、その利益は社会福祉事業に充てられ、店舗の運営は雇用を生み出しています。


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今回訪れたリサイクルショップは、Upper SerangoonにあるFamily Store。敷地はかなり広く、3階建ての店舗と、100坪ほどの倉庫がありました。


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店舗の中には、家電・家具・衣服・日用品・介護用品まで、さまざまなものが並んでいました。全て寄付によるものです。シンガポールには5つの店舗がありますが、ここは、そのなかでも最も大きい店舗だそうです。


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この、ちょっとくたびれたソファは400シンガポールドル(約26,000円)。なかなかの値段がつけられています。


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倉庫ではトラックからの荷下ろしが行われていました。運ばれているのは、市内に7ヵ所に設置された、ドネーションBOXです。


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寄付品が全て売り物になるわけではないようです。バケットには廃棄処分品が積まれていました。


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ちなみに、倉庫内には「5S活動」を呼びかけるポスターが。


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また、倉庫の入り口付近には、寄付を受け付けるコーナーがありました。

家族連れが車でひょいと立ち寄って、服やぬいぐるみなどが詰まった袋を、カゴに入れていきます。15分ほどいた間に、2台の車がやって来ました。かなり頻繁に「寄付」が行われているようです。


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「君は今朝、カソリックの教会に行ったんだって? 俺たちプロテスタントのほうが、もっとパワフルさ。」

この日は雨にもかかわらず、店舗内には、30名以上のお客さん。なるほど、力強い活動なのは確かなようです。


posted by 瀬戸義章 at 13:18 | Comment(3) | 5カ国目「シンガポール」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月15日

ゴミを一瞬で消す装置! シンガポールの便利さ追求録。

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シンガポールには、ゴミをゴミ袋に入れる習慣がないと聞きます。なぜなら、直接、この「ダストシュート」に入れるから。たとえ、食べかけ・飲みかけであろうとも、容器ごと、そのまま、ポイッと入れて、ふたを閉じれば、もう見えなくなります。


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世界第二位の人口密度(6,489人/km2)であるシンガポールは、住居の9割が集合住宅です。部屋の中にすえつけられているのが、このダストシュート。あまりにも便利なために、分別とリサイクルが進まない原因のひとつとしても挙げられていました。


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「シンガポールでリサイクルの壁になっているのが、家庭廃棄物のリサイクルである。各HDB 住宅にゴミのシュートが設置されゴミを簡単に捨てられること、また分別し回収所に持っていくことに経済的なメリットがないことなどが再生可能資源の分別が進まない背景にあった。」
(日本貿易振興機構アジア経済研究所『アジア各国における産業廃棄物・リサイクル政策情報提供事業報告書』より)

いったいどんなところに落ちていくのでしょう? 夜中、ものぐさな警備員を横目に、地上部分をこそこそ探し回ると、ありました。


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10階建て以上のコンドミニアムに対する容器としては、ずいぶん小ぶりです。毎日回収に来ているので、これで事足りるのでしょうか。


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ところで、シンガポールといえば、ポイ捨てに対する罰金が有名です。ゴミ箱にも警告が書いてありました。


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そのゴミ箱の数は、2001年の時点で、1万個。シンガポールの面積は、東京23区と同じくらいですが、あちこちにゴミ箱が並んでいます。


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これだけゴミを捨てるのに便利で、罰金もあるとなれば、街はさぞかしきれいだろう。と思いきや、中心部からMRTで10分ほど郊外に行くと、けっこう捨てられています。ポイ捨てするほうが、さらに便利?


posted by 瀬戸義章 at 18:12 | Comment(2) | 5カ国目「シンガポール」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月14日

うちわでゴミのポイ捨て防止! プノンペン市の工夫あれこれ

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「道にゴミがたくさん落ちているだろう。日本とは違って」インタビューは、開口一番、このことばで始まりました。


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場所はプノンペン市のCapital Hall。廃棄物担当 Nuon Samnavuth氏へのインタビューです。


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「ポイ捨てをやめるように、いろんな工夫・努力をしているんだ。たとえばこれは、市場に配布したうちわだよ。ゴミの分別方法が書いてある。うちわなら、使ってもらえる率が高いからね。お土産にどうぞ」


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「緑色が有機物、オレンジ色が無機物、という分け方だ。他にも、ポスターを貼ったり。スピーチしてまわったり。あれこれやっているけど、なかなかね」

「戦争があって、まずは僕たちは生きるのに精一杯だった。つい最近まで、ゴミなんかにかまってられない時代だったんだ。『ゴミのポイ捨て』というのは『習慣』になっているんだよ。習慣を変えるのは難しい。でも、今は違う。観光客も増えてきているし、汚い街にし続けるわけにはいかないんだ。この習慣を変えなければならない。」

何が重要課題か。聞くまでも無く、このポイ捨て問題のようです。

ところで、旅の途中に読んだ『三四郎』に、こんな一文がありました。
『この時三四郎はからになった弁当の折を力いっぱいに窓からほうり出した。』
冒頭、列車で東京に向かう場面です。夏目漱石が『三四郎』を著したのは1908年。少なくともこの時代には、日本でもポイ捨てが当たり前だったようです。いまでこそ「ゴミのポイ捨てはよくない。分別しなきゃ」という意識になり、「清潔だ」という評価を受けつつありますが、それは、Nuon氏のような志持つ人々の努力があったからこそでしょう。


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ゴミ処分場の見学はおろか、こうしたインタビューにも、本来であれば知事の許可が必要というカンボジア。(今回は友人との会話、ということで非公式の扱いにしてくれました)写真も撮れなかったので、以前参加した国際会議で撮影したものを抜粋。一番右がNuon氏です。


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なお、スカベンジャーたちが集めている缶や瓶、ペットボトルなどの有価物は、ベトナムに輸出されているそうです。


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それらを除いたフォーマルな廃棄物回収は、CINTRIという民間企業が、有料で行っています。費用は、量に応じて月に1ドル〜20ドル。他にも回収を行う企業が5社ほどあったそうですが、みな潰れてしまったそうです。現在、プノンペン市から出るゴミの総量は、1日1,500トン。処分場の管理は政府の管轄です。

余談ですが、「カンボジアの人たちは陽気で、笑顔が良いね」とコメントしたときの、彼の回答です。

「たしかに、日本を訪れたときは、電車の中でみんな難しい顔をしていたね。何かしら読んでいたり。忙しそうにして。でも、それはたぶんビジネスに集中しているからなんだ。一方、カンボジアでは、そこまでビジネスを深く考えてはいない。暇そうにしているからこその陽気さ、なんじゃないかな」


posted by 瀬戸義章 at 12:02 | Comment(0) | 4カ国目「カンボジア」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

赤茶けたビニル袋たち 〜拾ってみた3 カンボジア編〜

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シェムリアップの街では、路地は舗装されておらず、この赤茶けた土で覆われています。カンボジアには、まだ「ゴミをゴミ箱に捨てる」習慣が無く、土のなかに、あるいは草むらに、いくつものゴミがうずもれています。


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実際に拾ってみると、ほんの10分足らずで、袋は一杯になりました。


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内訳を見ると、「ビニル袋」が多いようです。買い物の袋として使われるのはもちろんのこと、ジュースの容器としても使われています。フィリピンもまた、多くのゴミが道端に捨てられていましたが、あちらがお菓子の袋など、包装プラスチックが多かったのに比べると、ただのビニル袋が多いようです。経済発展の差が、ここからも見て取れるそうですね。




posted by 瀬戸義章 at 11:55 | Comment(0) | 4カ国目「カンボジア」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月08日

カンボジアの中古品問屋街! 「ヘンリーマーケット」

プノンペン市の南西部にある問屋街、ヘンリーマーケット。中古の衣服・自転車・バイクを扱う卸売り業者が集まっています。


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倉庫の袋のには、ぎゅうぎゅうに古着が詰まっています。日本だけでなく、中国や韓国、あるいはアメリカからも仕入れているとか。


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袋から一枚ずつ洋服を仕分けして、市内の小売店に販売します。カンボジアで売られている中古衣料のなかには、横流しされた援助物資がある、という噂をいくつかの場所で聞いたのですが、この中にもあるのでしょうか。


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こちらは自転車の問屋街。ざっと見たところ、防犯登録のラベルが貼ってあったので、自転車は日本製が多いようです。


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一台ずつ、組み立て、修理し、洗浄しています。そして、10〜20ドルで販売しているそうです。街では30〜50ドルで販売されていたので、結構な開きがありますね。


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バイクは中国・韓国製の中古品が多数ありました。週に一台など、売れ行きはあまりよくないようです。

このマーケット、1年で1ブロック広がるなど、拡大し続けています。カンボジアでは、経済発展とともに、リユースの市場も急速に成長しているようです。


posted by 瀬戸義章 at 00:38 | Comment(1) | 4カ国目「カンボジア」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする