シンガポールの人々は、いらなくなった衣服や、家電・家具を「軍隊」に寄付しています。その「軍隊」は、受け取った不用品を、彼らの運営するリサイクルショップで販売しています。
軍隊の名は「救世軍(Salvation Army)」。1865年に創設された、イギリス発祥のキリスト教団体です。「大将」や「少佐」「軍曹」といった、軍隊と同じ階級がある組織ですが、武器を持って戦うわけではありません。児童養護、介護、在宅サービス等の社会福祉事業を行っています。世の貧困と戦う軍隊、とでも言うべきでしょうか。世界121の国と地域に展開しており、2010年度の予算は$15.6m(約13億円)と、かなり大きな組織です。
シンガポールでの活動は、1935年から。リサイクルショップも活動のひとつで、その利益は社会福祉事業に充てられ、店舗の運営は雇用を生み出しています。
今回訪れたリサイクルショップは、Upper SerangoonにあるFamily Store。敷地はかなり広く、3階建ての店舗と、100坪ほどの倉庫がありました。
店舗の中には、家電・家具・衣服・日用品・介護用品まで、さまざまなものが並んでいました。全て寄付によるものです。シンガポールには5つの店舗がありますが、ここは、そのなかでも最も大きい店舗だそうです。
この、ちょっとくたびれたソファは400シンガポールドル(約26,000円)。なかなかの値段がつけられています。
倉庫ではトラックからの荷下ろしが行われていました。運ばれているのは、市内に7ヵ所に設置された、ドネーションBOXです。
寄付品が全て売り物になるわけではないようです。バケットには廃棄処分品が積まれていました。
ちなみに、倉庫内には「5S活動」を呼びかけるポスターが。
また、倉庫の入り口付近には、寄付を受け付けるコーナーがありました。
家族連れが車でひょいと立ち寄って、服やぬいぐるみなどが詰まった袋を、カゴに入れていきます。15分ほどいた間に、2台の車がやって来ました。かなり頻繁に「寄付」が行われているようです。
「君は今朝、カソリックの教会に行ったんだって? 俺たちプロテスタントのほうが、もっとパワフルさ。」
この日は雨にもかかわらず、店舗内には、30名以上のお客さん。なるほど、力強い活動なのは確かなようです。