2010年12月12日

ホンネとタテマエ? フィリピンの一般ゴミ処理事情

『日刊まにら新聞』によると、フィリピンでは、今年の雨季に、スコール対策として「ゴミのポイ捨て禁止」が呼びかけられたそうです。


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なぜかというと、ゴミが詰まって、道路の水はけが悪くなるからです。これは、アウトレットモールの水詰まり。6〜10月の雨季には、交通が麻痺するほどの浸水が起きているそうです。リサイクルショップのオフィスバスターズさんも、店舗を探すときは、浸水しない様に、物件の高さに注意するとか。


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それくらい、あちこちでポイ捨てされているのが、フィリピンです。どこの道路もおよそこんな具合です。


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こちらは、MDAA(Metropolitan Manila Development Authority)による道路清掃の様子。富裕地区のメインストリートでは、清掃しているところを見かけます。たまに、ですが。


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ゴミのポイ捨てはだめよ、と禁止する看板をいくつか見かけましたが、効果のほどは、どうでしょうか。

市長クラスが参加する、日本の中古品オークション「ICHIVAN YASUI AUCTION」に参加した時のこと。参加者は、席に座りながら、スナック菓子の袋をぽいぽい床に捨てていました。

また、コンビニの店舗内休憩スペースで、休んでいたときの事です。レジ袋を床に置きつつ、パンとペプシを買って食べていたら、スタッフにさっと回収されました。(袋を使うつもりだったので、返してもらいましたが)

ファストフードでも、食べ終わった後は店員が片付けにくるので席に放置、です。

こういう事からみるに、ポイ捨てを禁止、しても、人々に根付くにはなかなか難しそうな気がします。なにせ、信号を渡らない国ですからね。シンガポールは重い罰金を貸す事で、それをクリアしているみたいですが、そういえば、日本はどうやって習慣づけしたのでしょうか。


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一方、家のゴミは、こんな風に、外にある袋に溜めておき、週に一回、決められた曜日に回収に来ます。

ホームステイ先のWendyにきくと、瓶と缶は別に分けて出し、生ゴミは犬の餌にして、残りはまとめてゴミに出しているそうです。


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街で見かけたごみ収集車。一人がバケットの上に乗って、3人がかりで回収します。

分別しなきゃ回収しないよ、という法律もできたそうですが、それがなかなか実行されていないのは、コチラの記事でふれています。


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さらに、ゴミを焼く事もフィリピンでは禁じられていますが、ゴミの野焼きもあちこちで行われています。だって量が減るじゃん、とのこと。


いま、レジ袋の回収を店舗に義務付ける法律を審議中のようですが、法律と生活との間に、架け橋が足りてないのでは、と、強く感じました。
posted by 瀬戸義章 at 21:20 | Comment(0) | 1カ国目「フィリピン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月11日

婚礼ダンスが大人気! フィリピンのオークション・ショー

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テーブルの上に乗ってダンス、ダンス!


フィリピンといえば、歌と踊り。アロマゴミ処理場の、年端も行かない女の子たちも、"Nobady"の振り付けを完璧にマスターしていました。そこで、本場の、ダンスクラブに潜入取材をっ・・・・・・

すみません。嘘です。

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こちらは、日本から輸入した中古品オークション、その名も"ICHIVAN YASUI AUCTION"のようすです。


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「お客さんの表情と、場の流れを見ながら、品出しの順番や、開始価格を一瞬で判断して、かつ盛り上げていくんだ。これはテクニックだね。」と語るのはMCのエリック。


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一つの商品にかける時間はせいぜい1分。その間に商品説明と、競売を、ぱぱぱぱっ、と行います。


このエキサイティングなオークションでは、日本で売れにくい商品を、リサイクルショップ数社から仕入れ、競りにかけています。

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たしかに、大型収納家具や、


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ベッドマットは、日本で中古品を買う事は、なかなかありません。寝具の中古品は、抵抗をもたれますし、収納付きの部屋が増えているからです。


家の広いフィリピン人にとっては、逆に品質のしっかりした大型収納家具は注目されており、特に、無垢材でできた「婚礼家具」は人気だとか。

この日は、高さ180cm×幅220cmのクローゼット×2に最高値の13,500ペソ(約27,000円)の値がつきました。

ちなみにベッドマットは1,000ペソ(約2,000円)で落札されました。

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なんと、仏壇も1,500ペソ(約3,000円)で落札! 飾りとして使う、タンスとして使う、という用途のほかには、数少ない仏教徒が、本来の用途で使うそうです。


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オークションの参加者は、リサイクルショップのバイヤーが中心。大口のバイヤーは、10t車一台分を買っていくときもあるとか。他にも、市長や芸能人、地方の有力者など、ステータスある人々が競りを楽しみます。客席はなんと映画館の座席を再利用!


「だから、"ゴミ"を出品でもしたら、クレームになります。日本ではニーズのない中古品を、こちらで販売しているわけです。」

「ジャンク品はジャンク品で販売できる先はありますし、そういうルートをいくつも持っていれば、結局、ゴミになるものなんてほとんど無いですよ。」とは主催者の吉田さん。

ニーズに合わせた、国際的なリユースを強く感じた日でした。見学させていただいた吉田さん、ありがとうございます!

オークションの情報はコチラから。
posted by 瀬戸義章 at 18:51 | Comment(0) | 1カ国目「フィリピン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月09日

ゴミを拾ってバッグに! フィリピンのエコショップ事情

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この小物入れは、ゴミ捨て場で採れた、ある素材からできています。


フィリピンのソーシャル企業 Rags2Richesが、フィリピンのパヤタスゴミ処理場で暮らす女性の自立支援を目的として、作り上げたエコの商品。フィリピンのトップデザイナー Rajo Laurelがデザインしています。

もともとは床に敷く"ラグ"だそうです。捨てられたラグを拾い、の繊維をほどいて、洗浄し、また編みこんで作ったものだそうです。

お値段は大型のもので495ペソ(約1,000円)
小型のものは230ペソ(約460円)

小型のものを一つ買ったのですが、タグに、
This product was exquisitely handcrafted by
Ana aeiqao
と書かれていました。誰かが捨てたラグを、誰かがパヤタスまで運び、誰かが見つけ、Anaが再生し、そして、自分の元に届きました。


この商品を販売しているのは、フィリピンの富裕地区、ボニフォシオ ハイストリートの"echostore"

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おしゃれな店構えです。この店ではほかにも、


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旗を再利用したバッグや(2,249ペソ、約4,500円)、


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ジュースの容器を編みこんで作ったバッグ(540ペソ、約1,100円)
など、さまざまなエコプロダクツが販売されていました。いずれも、フィリピンで活躍するソーシャル企業、NPOが製作したものです。クオリティもいい感じですね。


「ゴミの削減」という観点から言えば、排出される量に比して、こうしたエコプロダクツによって再生される量は少なく、効果は薄いかもしれません。しかし、手元の材料から、収入を得るための、創造性あふれる試みとして、フィリピン各地で、さまざまな企業・NPOが取り組んでいるようです。

#このお店は、フィリピン唯一の日本語フリーペーパー『Primer』の編集部、浅田さんに教えていただきました。ありがとうございます。

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日本人向けに、料理や買い物、イベント情報などが、詳しくまとめられている、月一発行のフリーペーパーです。マニラにお立ち寄りの際は、手に取ってみてください。浅田さん含むガールズに代わって宣伝です!


posted by 瀬戸義章 at 10:14 | Comment(3) | 1カ国目「フィリピン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月07日

Contribution of "Scavenger"

昨日の記事でご紹介したJUNK SHOPに、有価物を持ち込み、売却するスカベンジャーたち。

彼らはどんな風に分別しているのでしょうか。まとめてみました。




まずはアロマゴミ地区での分別の様子。透明なビニル袋の仕分け作業のようですが、驚くべきことに、ロゴマークなど、色つきの部分をカットしています。汚れも布で拭いていて、繊細な作業のほどが伺えます。



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「何してるの?」
「ビニル袋を干しているんだ。そこのTシャツみたいだな。」

コチラは別の場所での作業。
乾かしたビニルは1kg30ペソで売却できるそうです。
JUNK SHOPの相場からすると比較的いい値段かな。

それにしても、どこかで見たことがあるようなキャラです。。
このあと仲良くなって、ジンを一杯おごってもらいました。



こちらはブラタスの農業高校のゴミを取り分けているスカベンジャー。瓶とプラスチックコップのみ取り分けているようでした。

フィリピンに数店舗リサイクルショップを構える、オフィスバスターズさんに事務系の一般ゴミ回収について話を聞くと、
「ゴミは週に2,3度、誰かが来て持って行ってくれる」
「行政の回収車がきたことは無い。収集車もほとんど見ない」
とのことでした。

学校や店舗内の環境をきれいにするにあたって、彼らが活躍していることがうかがえます。


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鉄くずを乗せて自転車をこぐスカベンジャー。交通量が多く、排ガス規制も緩いこの国では、都市部の道路はいつも灰色にかすんでいます。
posted by 瀬戸義章 at 20:29 | Comment(1) | 1カ国目「フィリピン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月06日

リサイクルのかなめ。フィリピンJUNK SHOP事情#2

JUNK SHOPで有価物はいくらで流通しているのか? 何軒か聞き込み調査をしました。

まずはホームステイ先の町Balagtasで、近所から。

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鉄くずは1kg 13ペソ(約26円)。


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プラスチックは1kg 15ペソ(約30円)。


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紙くずは3kgで5ペソ(約10円)。
1kgで換算すると1.7ペソ(約4円)。


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なんと、彼のお店では、鉄くずよりプラスチックを高く買い取っています。


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続いて、30分ほど歩いた別の店。ここでは、
・鉄くず1kg 30ペソ(約60円)
・瓶(ソフトドリンク) 1kg 0.5ペソ(約1円)
・紙くず(白色に限る)1kg 14ペソ(約28円)
・PETボトル1kg 27ペソ(約54円)
あれ、ずいぶんと価格差がありますね。だいぶ鉄を高く買い取ってます。スカベンジャーの移動手段はせいぜい自転車なので、競合店との価格競争があまり必要ないのかもしれません。


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ところで、PETボトルは潰していないみたいですが、運搬効率が悪いんじゃあ…


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さらに、隣町のLolonboyでもJUNK SHOPを発見。ここでは、鉄くず1kg 9ペソ(約18円)。相場からするとだいぶ安く仕入れているようですね。すぐそばに大きなゴミ捨て場があり、スカベンジャーが住んでいるので、その利点を生かしているのでしょうか。


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オーナーの身なりも、比較的良くみえます。清潔なシャツに、腕時計と指輪は当たり前。スカベンジャーとの力関係が伺えます。


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また、JUNK SHOPではありませんが、駅近くの屋台などで、プリンタのインクの買取をしているみたいです。




ちなみに、こちらは、JUNK SHOPで給水機を解体して、鉄くずにしている様子。この調子だと、有害物が含まれていても、気にしないでしょうね……

posted by 瀬戸義章 at 20:00 | Comment(0) | 1カ国目「フィリピン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする