2010年12月22日

王室プロジェクトにも参加!オーガニック農法の達人にインタビュー

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たくさんのお店でにぎわうSukhumvit通りを歩いていると、ふと"ORGANIC SHOP"の看板が目に入りました。高架鉄道のPhrom Phong駅のすぐそばです。


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高級感ある店内では、有機野菜や石鹸・天然洗剤が販売されています。商品説明はすべて日本語。日本人向けの店舗のようです。


(ちなみに、バンコクに住む日本人は約3万人と言われており、電車の中で日本語の小説を読むサラリーマンや、電話をしていて「あとで折り返すから(日本語)」といった声を、ちょくちょく見聞きします。)

パンフレットによると、国立公園のあるカオヤイ山脈の麓に農園を持ち、1999年から有機農法に取り組んで作り上げた商品、との事です。カオヤイ国立公園はバンコクの北東部、車で2時間ほど走ったところにあります。

お店のオーナーである大賀さんに、無理を言ってインタビューさせていただきました。

「もともと駐在員として、こちらにいたときから、水質汚染に非常に関心がありました。水質汚染の原因には『生活排水』『工業排水』『農業排水』があります。まずはできるところから、と、農薬を使わず、水を汚さない農園づくりに兆戦しました。」


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「かつては鶏糞や牛糞を、堆肥にするために買っていたのですが、うまくいきません。そこで、農園に牛や鶏を飼い、食べ物もすべて管理し、その糞と、農園で取れた野菜くず、オーガニック米のモミや糠などを、動物由来3:植物由来7の割合で混合し、堆肥化させ、肥料として使うようにしました。そんな様々な試行錯誤の末、有用微生物の多く、腐敗菌の少ない土壌ができるようになりました。」


「今では、王様のプロジェクトに協力して、オーガニック農法をチェンマイ県・チェンライ県・スリン県・コラート県・チャセンサオ県などに指導もしています。生分解性の石鹸の販売が始まり、4,000人規模の工場の排水処理にも携わることができ、最初に思い描いた、家庭・農業・工業のすべてが、ようやくできるようになりました。」

「生ゴミの堆肥化ですか。微生物資材は既にあるので、きちんと、生ゴミを集めれば堆肥にするのは簡単です。特別な機械もいりません。ただ、腐敗菌が発生する前の"新しい生ゴミ"を集める必要がありますし、生ゴミ以外の異物が混入してもいけません。ご存知のように、分別がぜんぜんできていない国ですから、堆肥化よりも、きちんと集められる仕組みを作るのが、非常に難しいと思います。」

「大人たちに習慣づけしなおすのは大変でしょう。だから、分別のことを小学校で指導するように政策提言をしているところです。うまくいけば、リサイクルの授業がはじまるでしょう。」


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ほかに、生ゴミの処理においては、日本の加賀市の取り組みが非常に進んでいることを教えていただきました。日本に帰国したら、取材に行こうと思います。大賀さん、ありがとうございました!


posted by 瀬戸義章 at 23:50 | Comment(0) | 2カ国目「タイ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月21日

「東洋のデトロイト」で徹底的にリユース・リサイクル!

バンコクから南へ約100km、車で約2時間の距離に、シラチャーの街があります。ここは「東洋のデトロイト」と称される所で、世界各国の自動車工場が林立しています。中小企業向けの優遇措置がある工業地帯も、6エリア区画され、すぐ近くには、タイ最大の港湾、レムチャバン港。このように、製造・貿易が盛んに行われている街です。

ここにリサイクルショップを構える「エコリング」さんのお話を伺いました。エコリングさんは、日本の関西中心に、ブランド品の買い取り・販売をされている企業です。


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店舗の外観。大きく「JAPAN ITEM」の告知がされています。今、タイは日本ブームだそうです。たとえば、日系企業含めて、日本食のレストランが、800以上あるとか。フィリピンもそうでしたが、"JAPAN"への親和性が高いのでしょう。


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こちらは店舗内。タイ人の中でも、月給5万バーツ(約10万円)のマネージャークラス以上がターゲット。ちなみに、大学卒の初任給が、2万〜3万バーツ(約4万円〜6万円)だそうです。


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ゴルフクラブは1,000バーツ(約3,000円)から。近くにゴルフの練習場があり、そこの利用者が買っていくとか。


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自転車は一台3,000バーツ(約9,000円)前後。

2階・3階は改装中で、商品を仕入れ次第、1階部分を家具専門フロアにする予定だそうです。


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ここは、店舗から車で20分ほど走った場所にある倉庫。コンテナをここに付け、荷物の仕分けを行います。状態の良いA級品は自社店舗で、汚れのあるB級品は、バイヤーに卸売りします。


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このB級事務イスは、ひとやま全部で3万3千バーツ(約10万円)。


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テーブルは1台1,500バーツ(約4,500円)


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スチール製のロッカーは人気が無く、売れないそうです。


また、さらに車で20分ほど移動した工業団地には、パートナー会社のリサイクル工場があるそうなので、見学させていただきました。

ここでは、プラスチックの再資源化を主にしています。近隣の工場から、製造過程で生じる端材を、有価原料として買取り、再資源化をして、また原料として売却をしています。


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これが、プラスチックを粉々に砕く破砕機。


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およそ5mmの破片にすることで、再び原料として使えるようになります。


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「他んとこは、モノをただ送りつけるだけや。お店もって、リユースで売って、リサイクルまで、ぜっんぶできるんだから、他んとこに負けやせんよ」

案内していただいた羽東さまの言葉です。ありがとうございました!
posted by 瀬戸義章 at 02:44 | Comment(0) | 2カ国目「タイ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月19日

土曜の夜には何でも買える? タイのバザール

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夜店にテレビが積み重なった、まるで、旧いSF映画のようなこの光景。バンコク西部、クロントム市場にて、土曜日の夕暮れ時から行われる、ナイトバザールの様子です。


日本製のブラウン管テレビが、1,000バーツ〜5,000バーツ(約3,000円〜約15,000円)で売られていました。

このバザールで売られているのは、テレビだけではありません。洋服、バッグ、靴、おもちゃ、古本、DVD、家電、工具、自転車、家具など、大小さまざまな商品が販売されています。専門店だけでなく、家からガラクタを持ってきたような、ガレージセールもありました。



通りには、夜店のほかに、夕食をふるまう屋台がひしめきあい、街の一ブロックが、まるまるバザー会場になっていました。・・・搬出入、大変だろうなあ。


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こちら、セブンイレブンで冷蔵庫を販売しているわけでは、ありません。たとえ店舗の前でもバザールです。ちなみに冷蔵庫は中国製が多く、2,000バーツ(約6,000円)前後の値段。


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暑い国なので、エアコンも人気。16,000〜18,000バーツ(約48,000円〜54,000円)と、なかなかのお値段です。


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歩道に、どん、とベッドマット。値札には4,500バーツ(約13,500円)とありましたが、え、新品じゃないよね。これもいい値段がします。


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オフィス用品も、このバザールでそろいます。事務机1,400バーツ(約4,200円)也。


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ちなみに昼間は、バンコク北部で、ウィークエンドマーケットが開催されていました。洋服、食料品、工芸品、書籍、絵、花などがそろいます。ここも、全部まわると、一日かかる広さです。地図によると、店舗の数は5,000以上!


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中古の衣料品を扱う店も多数。50〜100バーツ(約150〜300円)と、リーズナブルな値段です。


フィリピンでも、大きな市場はありましたが、それにしても家電や家具まで扱うとは。タイのバザール文化、侮れません。
posted by 瀬戸義章 at 05:06 | Comment(0) | 2カ国目「タイ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月16日

中古テレビが抱える問題。BAN Richard Gutierrez氏へのインタビュー

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国際NGO BAN TOXICSの代表、Gutierrez氏にインタビューをしました。

――E-waste問題について教えてください。

「1999年、日本企業から、注射針など医療廃棄物が届いた。フィリピンの有害廃棄物問題は、これに端を発している。彼らにとっての利益を追求した結果だろう。E-waste問題も、この有害廃棄物問題の一つだ。」

「街を歩けばわかると思うが、フィリピンには、日本の中古テレビが並ぶ店が、いくつもある。フィリピンの中古テレビは、ほとんどが日本製、まれに韓国製だ。日本とフィリピンのTVシグナルが同じで、少しのカスタマイズで使えるようになるからだ。だから、日本から、たくさんの中古テレビが輸入されていることが、君も分かると思う。しかし、JICAのリサーチでは、フィリピンに輸入される中古品のうち、平均すると、10%がゴミだそうだ。中には、コンテナの半分以上がゴミだったケースもある。画面が割れているテレビ、映らないテレビ、修理不可なテレビが店で売れるはずも無い。JUNK SHOPに送られるか、そのまま捨てられる。その処理が問題なんだ。フィリピンでは、ゴミ処理はインフォーマルセクター、つまり、スカベンジャーたちによって行われる。」

「君も素手で家電を解体しているところを見たのか。(「リサイクルのかなめ。フィリピンJUNK SHOP事情#2 http://gomi-tabi.com/article/172099878.html)電化製品には、鉛やカドミウム、水銀などの有害物質が含まれている。そんなふうに解体していて、健康被害が起きないはずは無いんだ。彼らは、ブラウン管のガラスに有毒な鉛が含まれている事を知らずに、運びやすくするため叩き壊しているし、、AVケーブルの皮膜を剥ぐために、燃やしたりしている。ちなみに、そうして分別した後は、中国に輸出している。フィリピンには再資源化できるところが少ないからだ。」

「この問題は貧困が絡んでいるから、解決することは極めて困難だ。今日、食べていくためにやっている彼らに、ゴミを拾うなとは言えない。」

――どれくらいの被害が出ているのですか?
「まだ、具体的にはわからないんだ。定量的な調査をしているところだ。」


――BANの活動を教えてください。

「BANはジャーナリスティックに活動している。具体的には、TV5やCBSなどのテレビ局に、ニュースを提供している。たとえばこれは、来週放送される番組だ。E-wasteの問題を取り上げている。」



――問題の解決には、何が必要だと思いますか?

「日本での規制だ。フィリピン側でコントロールすることが困難だからだ。君のラップトップPCの電源を切れていたとしよう。それを見て、使えるのか/壊れているのか、判断することは我々には非常に難しい。だから、そもそも壊れている物を輸出にしないようにすべきだ。」

「もともと、国家間の廃棄物の輸出入を禁止する、バーゼル条約があるんだ。しかし、日本は、この条約のアップグレード版を批准していない。それどころか、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)によって、規制を緩和しようとしている。」

「すべての中古品が悪ではない。だから、"Not only working but also apropreate."を望む。壊れているだけでなくて、我々が使う『商品』を送ってほしい。たとえば、動くからといって、白黒テレビを送られても、商品にはなりえない。」

「日本では、水銀によって水俣病が引き起こされただろう。先日、日本に行った際に、彼らと面会をしてきたが、この悲劇を起こさないようにしてほしい。」

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Mr.Richard ありがとうございました。
posted by 瀬戸義章 at 17:13 | Comment(0) | 1カ国目「フィリピン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

フィリピンのソーシャル企業支援。ASEI John Paul Melgazo氏へのインタビュー

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ASEI(ASIAN SOCIAL ENTERPRISE INCUBATOR)のJP Melgazo氏にインタビューをしました。

――御社はどういう活動をされているのですか?

「ASEIは、アキノ大統領の肝入りでスタートしました。フィリピンにはソーシャルな活動をしている企業やNGOがありますが、彼らには技術やノウハウ、資金がありません。彼らがサステナブルに活動できるように、支援者とマッチングさせていくのがわれわれの使命です。たとえば、マイクロファイナンス大手の"MFI"などが我々のパートナーです。」

「この国にはいくつかの階層があります。富裕層のAクラス。定職があり、税金を納めるBクラス。決まった仕事が無いCクラス。路上生活者などのDクラス。そして、HandicappedであるEクラス。このうち、Dクラス以下の人々にむけて、支援していきます」

(※注 フィリピンでは、1,000ペソ単位で投資ができるマイクロファイナンスの利用が、日本と比べて普及している。Bクラスの人々も利用している。)

――具体的にどんな団体をフォローしているのですか。

「Ann WizerのInvisible Sietersという団体をフォローしています。フィリピンにはゴミ捨て場で生活するような人々が多くいます。その中でも、特に収入の無い女性たちが自立できるよう、支援をする団体です。」

「彼女たちは、プラスチックの容器や、AV配線のケーブル、パソコンのハードディスク、ビデオテープなどのゴミを上手に編みこんで、バッグなどを作っています。そして、ひとつ300〜1,500ペソ(約600円〜3,000円)の値段をつけて、バザーで販売しています。」

「Annは、フィリピンのECO-WARRIOR 10傑にも選ばれました」

――同じような活動をしているNGOがいくつもあるが、商品が競合しませんか?

「そのためにも、バザーだけでなく、マカティ市の店舗、そして、海外に販売網を広げていきたいと考えています」

(※注 フィリピンでは、インターネットで情報を検索し、比較検討する、ということがそこまで発達していない。重要なのは「知っている/知らない」で、地理的格差があれば、そこまで競争にならない、とのこと。)

――今後はどんな展開をされるのでしょうか?

「次は電力です。太陽光発電と水力発電を、農村部に広めたいと考えています。フィリピンには、電気も水道もなく、薬も買えずに、薬草を煎じて飲んでいるような地域がまだあります。そうしたところに、まずは電力を供給していきます。」

「その後は、教育を普及させていく予定です。インターネットを使えば、地方に対しても、効果的な教育をもたらすことができます。たとえば、Skype。海外との通話ですら、このサービスなら無料でできます。もし、このプロジェクトがスタートする段階になったら、古くなったPCを、日本から仕入れたいと思っています。」

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Mr.JP ありがとうございました。


posted by 瀬戸義章 at 17:08 | Comment(0) | 1カ国目「フィリピン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする